さて、次は根室本線の花咲線についてです。
根室本線自体は道央西部の滝川駅を起点として
北海道のど真ん中を貫いて根室半島の先の根室駅まで続く
全長443.8kmの長い路線です。
そして釧路駅を境に根室駅までの根室半島の区間135.4kmは
同じ根室本線ながら釧路駅以西とは完全に運行が分離されています。
1991年7月には「花咲線」の愛称がつけられて
この区間のワンマン運転が開始されています。
花咲線で釧路駅━根室駅の所要時間は片道でおよそ2時間半程度となっています。
こちらはJR釧路駅。
根室本線はこの釧路駅で運転系統が分割されており、
釧路駅━根室駅間を運行する花咲線の始発駅となっています。
この区間の「花咲線」の愛称は1991年につけられました。
こちらはD51-467の動輪。
釧路駅開業90周年を記念して1991年に駅前に設置されたものだそうです。
釧路駅の駅舎を背に左手を見ると
バスロータリーがあり、15番乗り場まである一大拠点となっています。
そして黄色い看板の目立つスーパーホテルの建物の1階に
釧路駅前バスターミナルが設置されており、
待合室とバスの券売所や案内所が設けられています。
こちら駅舎内の改札付近。
さすが雪国らしく、改札のホーム側はガラスで仕切られて
風雪が吹き込まないようになっていました。
こちらが駅舎に一番近い1番線ホーム。
こちらは1番線にある釧路の駅弁販売店の釧祥館(せんしょうかん)です。
各ホームは地下道で連絡されています。
こちらが駅舎から一番遠い4、5番線ホーム。
真ん中の3、4番線ホームには石炭のオブジェや湿原の鐘などが設置されていました。
こちらが石炭のオブジェ。
かつて釧路にあった太平洋炭礦の石炭の様です。
こちらが湿原の鐘。
くしろ湿原ノロッコ号の停車駅に設置されたものの様ですね。
東釧路駅。
島式ホーム1面2線の駅です。
根室本線の途中駅ですが、釧網本線の起点駅でもあります。
こちらが駅の構内踏切。
構内踏切の先の、駅舎をホーム側から見た外観です。
駅舎とホームの間の空き地はかつての引込み線があった用地で
ぽつんと釧網本線のゼロキロポストが設置されています。
かつては太平洋石炭販売輸送臨港線がこの駅から分岐していたり、
雪印の釧路工場への専用線が延びていたりと
貨物線の分岐する場所だっただそうですが
現在は花咲線と釧網本線のみが使用する駅でさながら途中駅の体です。
こちらが駅舎の外観。
駅舎の前は生協の駐車場となっています。
武佐駅。
単式1面1線の棒線無人駅です。
駅名は地名からで「ムサ」とはアイヌ語でイラクサの事だそうです。
駅北側は原野が広がり、南側は住宅が立ち並んでいます。
別保駅。
単式1面1線の無人駅です。
駅名は地名からでアイヌ語の「ベッ・ポ(川の子)」が由来だそうです。
上尾幌駅。
2面2線のホームがあり、単式ホームと島式ホームの片側が使用されています。
かつては炭鉱町として栄え多くの引込み線があったそうですが
現在は無人駅となっています。
尾幌駅。
単式1面1線の無人駅で駅舎は貨車駅舎となっています。
駅名は地名からアイヌ語の「オ・ポロ・ペッ(河口の大きい川)」に由来するそうです。
門静駅。
単式1面1線の棒線無人駅です。
駅名は地名からで、アイヌ語の「モイ・シュツ(湾のかたわら)」に由来するそうです。
厚岸駅。
単式ホームが二つある2面2線の駅です。
花咲線の中間駅では唯一となる有人駅で、
花咲線の運行管理もこの駅で行っています。
駅舎から遠い2番線ホームは跨線橋で連絡しています。
こちらのホームは列車交換時の下り列車のみが使用します。
跨線橋から見た駅の構内。
階段を降りるとご覧の駅舎への通路があります。
駅舎のホーム側の光景。
駅舎の入口の目の前には1番ホームへと渡る橋があります。
こちらが橋を渡った1番線ホーム。
基本的にこの駅の列車は上下線ともにこのホームで発着を行います。
こちらが駅舎の外観です。
駅前の様子。
駅前広場の右手にはご覧の氏家待合所があります。
こちらは厚岸の駅弁であるかきめしなどを作っており、
事前に電話予約をすると列車到着時に
ホームまで持ってきてくれるシステムとなっています。
糸魚沢駅。
単式1面1線の棒線無人駅です。
駅名の由来は、アイヌ語の「チライ・カリ・ペツ(イトウのいる川)」で
和訳をして糸魚沢となったそうです。
現在ある写真の駅舎は2015年に新しく作られた駅舎で
それまでは隣に木造平屋建てで切り妻屋根の旧駅舎があったそうです。
茶内駅。
千鳥式の相対ホーム2面2線の駅で列車交換の可能な駅となっています。
かつては駅員がいましたが現在は無人駅で、
ホーム同士は構内踏切で行き来する構造です。
駅名は地名からで、アイヌ語の「イチャン・ナイ(サケの産卵場のある川)」に由来するそうです。
この駅付近はルパン三世の原作者のモンキー・パンチの出身地であり、
1番乗り場の駅名標横にはご覧の通り銭型警部の立看板が設置されています。
こちらは駅舎の外観。
入口脇にはルパンが立っています。
駅前の案内図には「モンキーパンチの故郷浜中町へようこそ」の文字が。
浜中駅。
単式1面1線の無人駅となっています。
駅名は地名からで、アイヌ語の「オタノシケ」(砂浜の真ん中)を意訳したものだそうです。
この駅は駅名標の横にルパンが立っています。
姉別駅。
単式1面1線の棒線無人駅でプレハブの待合室が設置されています。
駅名は地名よりアイヌ語の「アネ・ペッ(細い川)」に由来だそうです。
待合室の窓にはご覧の通り、銃を構えるルパンと銭型警部が
窓にあしらわれています。
厚床駅。
単式1面1線の棒線無人駅となっています。
2016年3月まではこの駅には2番線ホームがあり、
現在でもそのホームの跡や交換設備が残っています。
しかし3月以降はダイヤ改正によって2番線ホームは廃止され、
構内踏切も階段に蓋がされて閉鎖されています。
またホームの駅舎の前には
かつてこの駅から分岐をしていた標津線の記念碑が設置されています。
初田牛駅。
単式1面1線ホームの棒線無人駅です。
駅名は地名からで、アイヌ語の「オ・ハッタラ・ウシ(河口に深い淵のある所)」に由来するそうです。
周辺はほぼ原野と言って良い状態であり、
民家はほとんど見当たりません。
※2017年3月廃止候補の駅。
別当賀駅。
この駅も単式1面1線の棒線無人駅です。
貨車駅舎の待合室が設置されています。
駅名は地名からで、、アイヌ語の「ペッ・ウッカ(川の瀬)」に由来するそうです。
落石駅。
ご覧の通り相対式2面2線の駅です。
無人駅で木像の待合室の駅舎があり、
構内踏切でホームがつながれています。
駅名は地名から、アイヌ語の「オク・チシ(山の尾根のくぼみ)」に由来するそうです。
花咲線はこの駅より東では終点まで列車交換の設備はありません。
昆布盛駅。
珍しい名前が印象的な駅ですが、
由来は地名からでアイヌ語の「コンブモイ(昆布の入り江・昆布湾)」だそうです。
単式1面1線の棒線無人駅でホーム上には構造物は無く、
階段を降りた目の前に小さな待合室が設けられています。
駅はご覧の通りカーブのすぐ先にあります。
すぐ横にはその名も「昆布盛踏切」という踏切があり、
ホーム前の広場につながっています。
西和田駅。
単式ホーム1面1線の無人駅です。
駅舎は車掌車を待合室にしたものが設置されています。
駅名は地名からですが、この地域を開拓した屯田兵第二大隊の
大隊長の苗字からこの一帯が和田村となり、
中隊がそれぞれ村の東西に一つづつ置かれて
「東和田」「西和田」と称しました。
そしてこの駅の付近は西和田に所在したことから駅名となったそうです。
駅は北海道道142号線沿いにあります。
道道から駅へと通じる道はご覧の通り。
運送会社の倉庫へと通じる道の先に駅があります。
こちらは北海道道142号線から道道310号線へと連絡している
花咲線沿いに走る市道です。
この付近にかつて2016年3月まで花咲駅がありました。
現在は廃駅となっています。
市道から花咲線の線路へと延びる横道。
駅跡には駅名標と同じ形の、
かつて花咲駅がここにあった事を示す記念のプレートが設置されていました。
かつての駅のあった場所付近の線路。
ホームの盛り土も撤去されて平らに整地されており、
線路への侵入防止のトラロープが張られていました。
線路側から見た記念プレート。
市道から駅まで至る道はご覧の感じです。
記念プレートの裏側には花咲駅の歴史が記されていました。
このホーム前には廃止直前まで貨車駅舎がありましたが
現在はかつて花咲駅の設置に尽力をし用地を提供した
松浦牧場へと寄贈されて牧場入口付近に置かれているそうです。
駅名は地名からで、アイヌ語の「ポロ・ノッ」(大きな岬)が由来だそうです。
花咲カニで有名な花咲港の最寄駅ですが駅周辺は牧場しかなく、
港までは1.3kmほどあります。
この花咲駅はご覧の通りの廃駅で駅舎もホームももうありません。
駅のあった付近の線路は交換設備の撤去跡なのか
不自然に湾曲していますが、駅の存在を知らせるのはそのくらいしかありません。
列車に乗車していると見落としやすいと思いますが
駅メモでは駅として登録されていますので
忘れず取り逃しの無い様に注意が必要でしょう。
東根室駅。
1961年に開業して以来「日本最東端の駅」となっています。
ホーム上と駅前の広場スペースにはその旨を示す記念碑が立てられています。
見ての通り1面1線の棒線無人駅です。
駅の施設であるのはホームのみで待合室などはありません。
根室駅。
根室本線の終着駅です。
1面1線の単式ホームの駅で、ホームの目の前には側線があります。
駅員が常駐している根室市の代表駅です。
ホームの西端にはご覧の「日本最東端有人の駅」とのプレートが設置されています。
本来の日本最東端の駅は東根室駅ですので
根室駅としては「有人では最東端」としています。
こちらが駅の外観。
駅舎の中はご覧の通り。
根室駅発の列車は一日6本しかありませんので
改札上の時刻表の文字が大きいのが印象的です。
待合スペースには駅スタンプが設置してあり、
根室駅と隣の東根室駅のスタンプが置いてありました。
こちらが根室駅のスタンプ。
こちらが東根室駅のスタンプです。
東根室駅は待合室すら無い無人駅ですので
根室駅にスタンプが置かれている様です。
駅を過ぎた先も200mほど線路が続いており、
根室本線の線路と鉄道用地の終端の先には
ご覧のプレートが設置されていました。
以上で根室本線の花咲線の全駅となります。
こちらはau 4G LTEでの花咲線の区間の電波エリアマップとなります。
基本的に花咲線の区間は全ての駅が電波エリア内となります。
駅での端末からのアクセスならばどの駅でもGPS位置情報が取得できるでしょう。
上尾幌駅はかつて炭鉱の石炭や周囲の山林の木材を搬出していた駅ですので
ご覧の通り周辺には電波圏外の区間がありますが、
上尾幌駅とその前後の路線上は電波が入っていますので
駅を取る事自体に問題は無いでしょう。
また初田牛駅━落石駅間のあたりも
原野の中を進む区間で電波圏外の箇所がありますが、
同様に駅の場所は電波が入りますので問題はありません。
また、花咲線をレーダーでなんとかできるか、と考えた場合、
結論から言うと何とかはできないでしょう。
花咲線を終点までレーダー射程範囲に収めるには、
射程14でも姉別駅、射程12では初田牛駅まで来ないと
終点の根室駅や東根室駅まで届きません。
上下ともに一日に6本しか無い花咲線で
途中駅で引き返して戻る事に時間的なメリットはありません。
終点まで乗って戻ってきても全く時間的には変わらないでしょう。
やはり基本的には素直に乗車するしか無いと思います。
まあ、路線を探索して東京とはまったくアナザーな世界で
非常に楽しかったので個人的にはアリな路線でした。
では。
コメント