紀州鉄道00
さて次は紀州鉄道です。

この路線は1931年(昭和6年)に御坊駅━御坊町駅(現在の紀伊御坊駅)で開業した
御坊臨港鉄道が前身にあたります。


1931年(昭和6年)に開業した御坊臨港鉄道は
当初から経営が振るわず、1960年代には廃止が取りざたされていたそうです。

そして1972年(昭和47年)にの旧経営陣が設立した
東京の磐梯電鉄不動産が御坊臨港鉄道を買収。
「『鉄道会社の不動産部門』という信用を得るため」と言われれるこの買収で
紀州鉄道と改名することとなります。

磐梯急行電鉄時代には経営スキャンダルを起こしていた経営陣ですが
1979年(昭和54年)にはリゾートホテル等を展開する鶴屋グループと経営陣が交代。
現在に至っています。


この紀州鉄道は2010年の営業係数は367.8であり、
日本の鉄道路線では最悪に属する数字の路線だそうです。
しかし紀州鉄道という会社は実態が不動産会社であり、
「鉄道会社の不動産部門」という看板の為に維持されている為、
収益に反して廃線の話は上がらない、という路線となります。

しかしそれでは鉄道は放置状態なのか、というとそうでもなく、
記念切符を発売したりイベントを細かく行ったりと
鉄道本体での経営努力も行われている様子です。
紀州鉄道36
こちらは現在(2017年4月)に紀州鉄道を走っているKR301です。
元は信楽高原鐵道のSKR300形という車両だそうで、
ボディの白地に緑のラインのデザインは信楽高原鐵道時代のままだそうです。
ただ、車体に描かれていた「信楽焼のタヌキ」は
御坊市ゆかりの「宮子姫」に描き換えられています。


紀州鉄道01
こちらはJR御坊駅。
JR西日本の紀勢本線(きのくに線)の駅です。
1929年(昭和4年)に当時の国鉄によって
紀勢西線の終着駅として開業しました。
紀州鉄道02
こちらは改札のある単式の1番線ホームです。
紀州鉄道03
改札を出て左手に跨線橋の階段があるのですが、
そちらにはご覧の紀州鉄道への案内があります。
紀州鉄道04
跨線橋の先に進んだところにあるこちらが
紀州鉄道の御坊駅のホームとなります。
御坊臨港鉄道(現在の紀州鉄道)の駅としては1931年(昭和6年)開業となります。
紀州鉄道05
こちらが御坊駅0番線ホーム。
紀勢本線の1番線ホームが切り欠きとなって設置されています。
紀州鉄道06
離れて見た0番線ホームの全景です。
紀州鉄道07
駅舎脇にある、紀州鉄道のレールの終端です。


紀州鉄道31
御坊駅を出ると列車は田んぼの中の単線を進みます。
旧国鉄の御坊駅が街のはずれに作られた事が今でもうかがえる光景です。
写真左中央に見える建物は、次の駅の名前の由来となった県立日高高校です。


紀州鉄道08
学門駅
1931年(昭和6年)の路線開業時に中学前駅として開業しました。
その後1941年(昭和16年)には一旦駅が廃止されたものの、
1979年(昭和54年)に同じ場所に学門駅として開業しています。
駅は単式1面1線の棒線無人駅となります。

駅名の由来についてですが「中学」とは旧制中学の事で、
「学門」は高校の裏門が目の前にあることからです。
どちらも目の前の県立日高高校が由来となっています。
紀州鉄道09
ホームの南端にはご覧の構造物があり、
「学問地蔵」と書かれて中にはお地蔵さんがいらっしゃいます。
紀州鉄道10
駅はご覧のとおり踏切の脇に設置されています。


紀州鉄道32
駅を出ると住宅の合間を縫う様に線路が走ります。
御坊市の市街地が近い事が分かる光景です。



紀州鉄道11
紀伊御坊駅
1931年(昭和6年)の路線開業時に御坊町駅として開業した駅です。
単式ホーム1面1線の駅となっています。

かつては交換設備のある相対式2面2線の駅だったそうですが、
駅舎側の線路を潰してホームを拡張し、現在の形となったそうです。
紀州鉄道12
かつての相対式だった時代のホームが
現行のホームの向かいに今でも廃ホームとして残っています。
そしてこの駅の駅名標も廃ホームにのみ設置されています。
紀州鉄道13
ホームの北端にはかつての相対式ホームを繋いだ構内踏切と、
その隣を流れる用水路に架かる線路の撤去された橋が残っていました。
紀州鉄道15
ホームの駅舎入口から中へと入ります。
紀州鉄道14
こちらが駅舎の中の様子。
有人駅となっていて駅員が常駐しています。
紀州鉄道16
駅舎の外観です。
この駅舎はなんでも1978年(昭和53年)に発売された
開業50周年記念切符の売り上げの収益によって建て替えられたそうです。
紀州鉄道17
そして駅舎の待合への入口脇にはご覧の扉が。
こちらが紀州鉄道の鉄道事業部事務所です。
いわば紀州鉄道の鉄道部門の本社と考えて良いでしょう。
紀州鉄道18
駅前の光景です。
紀州鉄道33
そして駅の南方には車両検収庫があり車両基地となっていますが、
廃ホーム南の引き上げ線には現在(2017年4月)から二代前の車両であり、
2009年(平成21年)まで現役だったキハ603が保管されています。
紀州鉄道34
キハ603のアップ。



紀州鉄道35
駅を出ると市街地の中を進み、
市役所の裏手を抜ける紀州鉄道。


紀州鉄道19
市役所前駅
1967年(昭和42年)に開設された駅です。
単式1面1線の棒線無人駅です。
紀州鉄道20
こちらが駅前の様子。
紀州鉄道21
駅の北150mほどの場所には名前の由来である
ご覧の御坊市役所があります。



紀州鉄道22
西御坊駅
1932年(昭和7年)に開業した駅です。
開業2年後の1934年(昭和9年)には日高川駅まで延伸されながらく中間駅でしたが
1989年(平成元年)に西御坊駅━日高川駅間が廃止となって終着駅となりました。
紀州鉄道26
紀州鉄道の終端の車止め。
紀州鉄道23
こちらが駅の外観です。
紀州鉄道24
駅舎を入るとご覧の感じで。
近年駅舎を元の建物を生かしたリフォームがされたそうなんですが…
予算ケチりましたね?
元来の駅舎を生かしてのリフォーム、という制約があったのでしょうが、
どうやら内装は老朽化した建物に薄ベニヤを貼って済ませた様子で。
証拠にベニヤが薄く剥がれてきています。
まあ、建物を使う事自体にはあまり問題が無いと思うのでいいですが。
営業係数が400弱という路線ではコストを掛けられないのもいたしかたないでしょう。
紀州鉄道25
奥へと進むと待合スペースと券売の窓口が。
窓口は午前中のみの営業だそうです。
紀州鉄道27
券売窓口の前には、駅舎の裏手へと通じる路地がありました。
紀州鉄道28
こちらが駅の裏手の光景です。
車止めの先にも線路が続いています。
紀州鉄道29
かつて西御坊駅から先には700mほど線路が延びていて
日高川駅という駅が終点としてありました。
西御坊駅━日高川駅間は1989年(平成元年)されており、
この線路はその廃線跡です。

また写真の赤いパイロンの右の道は
かつて西御坊駅から伸びていた大和紡績専用線という貨物線の跡です。
紀州鉄道30
川の橋梁は撤去されていましたが、
その先にも廃線のレールは延びていました。



紀州鉄道38
こちらはau 4G LTEでの電波サービスエリアのマップです。
全線が御坊市内を走る紀州鉄道はその全てが電波エリア圏内であり、
列車内であればどこからでもアクセスが可能となっています。

紀州鉄道37
そしてこちらはJR御坊駅からレーダーを飛ばした際の
射程についてです。
ご覧の通り、紀州鉄道の起点でもある御坊駅からは
レーダー射程5で終点の西御坊駅まで届くことが分かります。

つまりはっきり言えば、
JR紀勢本線(きのくに線)に乗ったままレーダーを飛ばせば
紀州鉄道は乗らずにコンプが可能
という事です。


確かに紀勢本線という長大な路線で
わざわざ御坊で一旦降りて紀州鉄道に乗る、というのは
時間のロスもあり、旅程によっては厳しいでしょう。

ただ、日本一の赤字路線とも言える紀州鉄道ですので、
できれば乗ってあげてほしい、かと。


では。