宮之城線86
さて、お次は宮之城線についてです。

元々は大正期に川宮鉄道が設立されて工事が中断された路線を
国が計画線の一部として国有化し、
1924年(大正13年)に川内町駅(現・川内駅)━樋脇駅が開業したのが始まりとなります。

その後延伸されて1937年(昭和12年)に薩摩大口駅まで延伸開業し、
宮之城線としての全線が開通しました。

しかし沿線の人の流れは西側が川内、
東側が粟野・隼人の生活圏として分断された状態であり、
また両端からの他線への乗り継ぎも接続が悪いなど使い勝手が良く無い為
1984年(昭和59年)には第2次特定地方交通線として廃止が承認されてしまい、
その後1987年(昭和62年)に国鉄のJR転換を目前にして廃線となったのです。

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こちらはJR九州の鹿児島本線と九州新幹線の駅である川内駅です。
駅の開業は1914年(大正3年)に川内町駅としてで、
宮之城線が開通して乗り入れたのは1924年(大正13年)となります。

かつては鹿児島本線のローカル駅だったこの駅も
2004年(平成16年)の九州新幹線の延伸開業によって新幹線停車駅となりました。
その為新幹線開業に併せて、ローカル駅舎は近代的なご覧の新幹線駅へと改築されています。
宮之城線02
そしてこちらが川内駅の新幹線ホームの光景です。
なぜ在来線では無く新幹線のホームを載せたかというと、
今回ご紹介する国鉄宮之城線の川内駅ホーム(旧3・4番線ホーム)は
現在の新幹線ホームの真下にあった
という事からです。
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こちらは川内駅の東口と、駅から北へと伸びる新幹線ですが
かつての宮之城線も新幹線の走るあたりを鹿児島本線と並走して北上していた様子です。

川内駅は現役のJRの駅ですので新幹線やJRで取れば
自動的に廃線の駅も取った事となります。



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こちらは県道394号線の薩摩川内市白浜町付近です。
宮之城線05
この県道はかつての宮之城線の廃線跡に拡張整備された道路であり、
ご覧の付近に薩摩白浜駅がありました。
駅は1936年(昭和11年)の開業ですので
宮之城線が開通してから20年あまりして新設された駅だった様です。
宮之城線04
当時の写真を参考にすると
赤線で描いたあたりに単式ホームが設置されていました。
宮之城線10
ご覧の通り駅跡のすぐ西で県道が広くなっているので勘違いされる方が多い様子ですが
実際にホームがあったのはそのすぐ東側の、
上写真の赤線で描いた位置となります。
単式ホーム1面1線のみの棒線無人駅だった様です。
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駅跡の東側すぐ隣にあるバイク屋です。
付近で目印になるのはこの店くらいしかありません。
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駅の西側すぐには「八幡神社」と書かれた表示のある小路が。
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奥には小さなお社がありました。



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廃線跡は県道394号線と並走しつつ東へと進みます。
左手に川内川に架かる赤い東郷橋が見えるこのあたりが
かつての楠元駅の駅跡となります。
宮之城線12
こちらが駅跡です。
営業当時の駅舎や駅名標が「楠元駅鉄道記念館」と銘して
現地にご覧の通り残されていました。

ただ、駅舎は当時のものですが、
北側の市道を整備する際に90度回転して移築されていますので
当時そのままの場所に建っている訳ではありません。
宮之城線13
営業当時の写真などからおおよそご覧の位置に
駅舎とホームが、ちょうど東郷橋に対して垂直にあった様です。
相対式ホーム2面2線の駅だったそうですので
駅構内はかなり広かったはずで、駅員の常駐する駅だったそうです。

状況から判断すると、恐らく宮之城線の廃線跡を市道として整備した際に
東郷橋と市道を連絡する為に駅舎とホームのど真ん中に道を作る必要が生じ、
保存の決まっていた旧駅舎を90度回転させて移築
したのだと思われます。
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鉄道記念館となっている旧駅舎。
営業当時の写真と比べると明らかに形が違っていますので、
恐らく「旧駅舎の建材を使った」のだと思います。
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当時のものと思われる改札のラッチです。
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窓から覗いた記念館の中の様子。
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敷地内にはポイントの分岐器や車輪などがありました。
宮之城線18
駅跡の目の前に架かる東郷橋。
かつて駅のあった頃には
この橋を渡った対岸の東郷町の利用客がメインだったそうです。



宮之城線19
市道に沿って道なりに4キロほど南下すると
ご覧の光景となります。
宮之城線20
市道沿いに吉野山郵便局が見えてきますが
この付近が次の駅である吉野山駅の跡地となります。
宮之城線22
こちらは吉野山郵便局の建物です。
この郵便局は宮之城線の営業当時からここにありましたので
駅の場所を知る上で非常に参考になる建物です。
宮之城線21
吉野山駅はおおよそご覧の感じであった様です。
1924年(大正13年)の路線開業時にできた2面2線の駅だそうですが、
廃線時の写真を見ると単式ホームの棒線駅になっていました。
宮之城線23
郵便局の前にある吉野山駅跡の石碑。
まさしくこの場所に木造の旧駅舎が建っていました。
宮之城線24
石碑に並んでレールと車輪も置かれています。
宮之城線25
ホーム跡の北端付近にある、平佐東地区コミュニティーセンター。
郵便局と道を挟んだ向かい側となります。
宮之城線26
コミュニティセンターと郵便局との間の道は、
写真奥側の東に向かって200mほどある
「鹿児島県道334号吉野山停車場線」という県道でした。
駅と県道335号を連絡する道でしたが2005年(平成17年)に
県道としては廃止されています。



宮之城線27
こちらは県道333号線と335号線の重複区間となる樋脇町付近で、
ご覧の通り「樋脇鉄道記念館前」というバス停があります。
宮之城線28
その東側にあるT字路が、かつての県道343号線樋脇停車場線となります。
この道は2005年(平成17年)に県道廃止となり現在は市道です。
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T字路の角には廃ガソリンスタンドが。
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150mほどの旧停車場線を進むと駅舎が見えてきます。
宮之城線31
こちらが樋脇駅の駅跡となります。
廃止後の現在も旧駅舎は当時ものをそのまま残してあり
樋脇鉄道記念館となっています。

駅は1924年(大正13年)の路線開業時の開設で、
1926年(大正15年)に宮之城駅に延伸されるまでは終着駅でした。
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駅舎の中の様子です。
入り口には「鉄道記念館」の木看板が下がっており、
中は営業当時の待合室です。
宮之城線33
券売窓口から中を覗き込むと
駅務のスペースはご覧の通りでした。
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こちらがかつての駅構内のホーム側の様子です。
レールが複線で残され、車軸のついた車輪が置かれています。
構内踏切と警報機も。
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駅構内の敷地はご覧の通り鉄道公園となっていました。
銘板で宮之城線の開業と廃止の年月日が。
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駅前広場の一角の物置には「駅前自治会」や「駅前公民館」の文字があります。
宮之城線37
駅跡の東側は駐車スペースとなっており、
その隣には市の運営する「鷹の巣冷泉」という日帰り入浴施設があります。



宮之城線38
樋脇駅から2kmほど東に廃線跡を転用した市道を進むと
次の駅の駅跡が見えてきます。
県道は川の対岸で周囲は市街地からは外れています。
宮之城線39
この交差点の向こうの左側がかつての上樋脇駅となります。
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かつての駅入口だった交差点の角にある
「上樋脇駅開設記念碑」と刻まれた石碑です。
駅の営業当時の写真にはありませんので、
おそらく廃線後に建てられたものと思われます。
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こちらが現在も残っている駅のホームの跡です。
駅は1959年(昭和34年)に新駅として追加されたもので、
単式ホーム1面1線の無人駅だったそうです。
宮之城線42
5、6年前には駅の待合室が残っていたそうなのですが、
2018年(平成30年)1月現在では上屋は無くなっていました。
かつての待合室の上屋はホーム中央あたりにご覧の様にあったそうです。
宮之城線43
廃線跡は舗装されて生活道路となっており、
ホームの一部は削り取られて隣接する家の出入口となっています。
宮之城線44
廃線跡であるホーム前の道は
東側の奥がご覧の通り行き止まりとなっています。
ガードレールの向こう側は樋脇川であり、
かつてはこの先に宮之城線の橋梁が架かっていました。



宮之城線45
こちらは国道328号線の入来郵便局付近です。
上樋脇駅から3kmほど進んできた廃線跡の市道が
この付近で国道と合流しています。
宮之城線46
合流点にある入来鉄道記念館前のバス停。
宮之城線47
その先がかつての入来駅の駅跡であり、
跡地は薩摩川内市鉄道記念公園として整備がされています。

駅は1926年(大正15年)に宮之城線の延伸開通によって設けられました。
宮之城線48
こちらは駅の跡地に建てられたSLを模した記念館です。
当時の写真の展示などもある様子ですが、
中は公民館として使われているようです。
宮之城線49
公園整備の経緯を記した銘板。
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記念館前から西のほうを見ると、
線路を模したであろう歩道が敷地外の入来郵便局の裏まで続いています。
宮之城線52
郵便局の裏手のこの市道がかつての宮之城線の廃線跡であり、
ちょうど郵便局建物の裏手付近から鉄道公園の中に向かって
線路が敷かれていた様子です。
宮之城線50
当時の写真を参考にしたので若干のずれはあると思いますが、
概ねご覧のような感じで入来駅のホームと駅舎が置かれていた様です。
ホームは千鳥式の2面2線だったそうで、
列車交換が出来るため駅員の常駐していた駅だそうです。
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参考に入来郵便局の周辺の様子を。
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記念館の脇に置かれたポイント切替器。
当時使われていたものなのでしょうか。



宮之城線55
廃線跡は国道を越えて北上しています。
4kmほど進んだ付近にある、
道の脇に残る腕木式信号。
宮之城線56
その先に廃線跡を進むとすぐにある消防団の倉庫。
廃線跡である敷地の先には久富木川に残る宮之城線の橋梁の土台が見えます。
宮之城線57
橋梁の橋台の跡に近づいてみると、
その後ろに伸びる宮之城線の築堤の上に一面のソーラーパネルが設置されていました。


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こちらは廃線跡に沿って走る県道393号線で、
駅跡の付近はご覧のように広場になっています。
宮之城線60
広場の向かいには、いかにも駅があったころには
駅前商店だったという風情の店が一軒あります。
宮之城線59
こちらが薩摩山崎駅の廃駅跡となります。
宮之城線66
駅跡の北隣にある久富木簡易郵便局。
宮之城線65
かつての駅には本数は少ないものの
現在はコミュニティバスのバス停が併設されています。
宮之城線62
どうやらこのあたりの廃駅跡ではセットになっているらしい
車輪と駅跡を示す石碑です。
宮之城線61
1926年(大正15年)の路線延伸時に開業をした駅で、
ご覧の場所にに木造駅舎がありました。
駅舎の向こう側に単式ホーム1面1線を持つ棒線駅でしたが、
かつては相対式2面だったそうです。
宮之城線63
ホームと線路のあったはずの場所を見ると
ご覧の通りに一面のソーラーパネルが。
駅跡から久富木川まで500m弱は廃線跡にソーラーが続いています。
宮之城線64
駅跡の立て看板を見て・・・なるほど。
ここがソーラープラントになったのは2014年(平成26年)だそうです。



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薩摩山崎駅を後にして廃線跡を進むと
国道267号線と並走をする区間があります。
そしてその国道と再び分かれるあたりに次の船木駅の駅跡があります。
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廃線跡の市道から見下ろすと見える国道267号線。
見えるあたりにバスの停留場もあります。
宮之城線68
写真のこのあたりがかつての船木駅の駅跡の様です。
宮之城線67
営業当時の写真などをみると
どうやらご覧のあたりに単式ホーム1面と駅舎があった様です。
駅は1936年(昭和11年)に新設されたもので、
開設当初は有人駅で鉄道員の宿舎もあったのだとか。



宮之城線71
こちらは国道267号線の宮之城駅前交差点です。
名前の通りこちらの目の前が宮之城駅の駅跡となります。
宮之城線72
この建物は宮之城鉄道記念館で、
廃駅となった宮之城駅跡に1987年(昭和62年)に建設されました。
中は観光案内所やJRの券売所、バス待合室を兼ねています。
宮之城線73
鉄道記念館の前はご覧のロータリーに。
宮之城線74
宮之城は竹細工などが名産の竹の街であり、
全国に数多ある「竹取物語」のかぐや姫伝説の地のひとつです。
ですのでかぐや姫の像が記念館の横に。
宮之城線75
そのかぐや姫に並んであるのが
宮之城駅の駅跡を示す石碑です。
宮之城線76
記念館の中の様子です。
待合スペースには竹細工が置かれています。
宮之城線77
こちらが宮之城線関連の展示スペースです。
宮之城線78
当時の写真や運賃表など。
宮之城線79
鉄道記念館の東側にはご覧のバス停があります。
バスでの宮之城線攻略の時にはルートにもよりますが
中継地点の一つとなるバス停です。
宮之城線80
そのバス停の東側にはご覧のレールや信号機、ポイント切替器などの
鉄道関連の展示がされています。
機関車はC57-124で鹿児島を中心に走っていたSLです。
宮之城線81
宮之城駅自体は1926年(大正15年)の開業で、
樋脇駅からの延伸開業によって終着駅となりました。
その後1934年(昭和9年)に宮之城線がさらに延伸した為中間駅となっています。
宮之城町の中心駅で相対式2面2線のホームを持ち、
さらに数本の引き上げ線があったそうです。



宮之城線87
こちらは川内駅━宮之城駅間のau 4G LTEでの電波エリアマップです。
廃線となって線路はありませんが、
廃線跡はほぼ全ての区間が電波エリア圏内となっています。


宮之城線82
こちらは参考までに宮之城駅からのレーダーの範囲です。
宮之城線83
路線図で示すと赤線を引いたご覧の範囲でレーダーが届きます。
川内駅からはレーダーで入来駅までは取れますので、
バスで川内駅→宮之城駅までの移動ができれば
レーダーで宮之城線の西側2/3は取れる
のが分かると思います。


川内駅━宮之城駅間のバス路線としては、
鹿児島交通の「宮之城車庫━川内駅━川内営業所」線が一番使い易いでしょう。
川内駅停留場━宮之城駅停留場までの所要時間はおよそ1時間弱、
運賃は690円(2018年1月現在)
となります。
この路線バスの運行ルートは以下の通りです。
宮之城線85
基本的に川内駅から宮之城駅までほぼ全線を国道267号線を走る路線です。
その為宮之城線の廃線跡とは川内川の対岸を走る区間がほとんどですが、
概ね並走しているので多くの廃駅にチェックインが可能です。
以下は宮之城線の各駅と路線バスの停留場の対比表です。

 □川内駅 :川内駅停留場
 □薩摩白浜駅:今村停留場(中郷~今村中 間で取得可能)
 □楠元駅  :斧渕停留場(小路三叉路~司野上 間で取得可能)
 □吉野山駅 :野瀬下停留場(司野峠~南瀬局 間で取得可能)
 ■樋脇駅  :チェックイン不可(要レーダー)
 □上樋脇駅 :須杭下停留場(大塚~須杭 間で取得可能)
 ■入来駅  :チェックイン不可(要レーダー)
 □薩摩山崎駅:山崎停留場(須杭入口~山崎小学校前 間で取得可能)
 □船木駅  :五反田停留場(クオラ病院前~文化センター前 間で取得可能)
 □宮之城駅 :宮之城駅停留場
宮之城線84
国道267号線上には樋脇駅と入来駅のエリアはありません。
ですのでこの2駅は上のバス路線からのチェックインはできません
レーダーを使うか別の方法でこの二つの駅のエリアへ行くしかないでしょう。


しかしこの廃線を攻略するのに一番楽なのは
なんといっても車での移動でしょう。
駅付近の道路の写真を見ても分かる通り、
この宮之城線の沿線道路は基本的に2車線の道路が多く
車の運転が非常に楽な廃線なのです。
川内駅から宮之城駅まででおよそ30km、
薩摩大口駅まででも70kmありませんので、
車で往復するだけなら3時間でおつりがくるでしょう。
私は宮之城線の全駅を巡りましたが、それでも8時間で川内━薩摩大口間が往復できました。



宮之城駅━薩摩大口駅間についてはその2で書きたいと思います。
では。