つづいては愛知高速交通東部丘陵線についてです。
愛知県で2005年(平成17年)に開催された2005年日本国際博覧会、
通称愛知万博の開催にあたって周辺の鉄道と万博会場の接続が必要となり、
そのアクセスを目的として計画建設された路線となります。
運営に際して設立された愛知高速交通は愛知県が57.17%の株式を保有するなど
周辺自治体や地元企業が出資をしており第三セクターの鉄道会社となります。
2005年(平成17年)3月に東部丘陵線として路線が開通。
名古屋市営地下鉄東山線の藤が丘駅と、愛知環状鉄道の八草駅の間を
8.9kmにわたって走っていいます。
愛称は「リニモ (Linimo)」で、こちらのほうが一般的に定着していると思います。
こちらがリニモの軌道、いわゆる線路です。
普段我々が見慣れている鉄道の線路とは形状が違うのが分かると思います。
それもそのはずで、リニモは常電導吸引型 (HSST) という形式の
日本初の磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)の常設実用路線なのです。
リニアモーターカーですから車体は宙に浮いて走行しており、
車輪のような衝撃の無い独特のフワリとした乗り心地となっています。
車内の座席は中央部がクロスシート、両端がロングシートの
セミクロス配置となっています。
こちらは藤が丘バスターミナル。
名古屋市営鉄道東山線の藤が丘駅の東側に隣接しており、
1階部分がそのままバス発着場となっています。
そしてこちらが名古屋市営鉄道東山線の藤が丘駅。
市営地下鉄の東端に位置する駅であり、
東側に名古屋市交通局藤が丘工場という地下鉄の車両基地があります。
その為この駅は地下鉄ながら地上高架駅となっています。
その地下鉄の駅舎の東側の、高架下をくぐる県道6号線に面してある
こちらの出口がリニモの藤が丘駅の1番出口となります。
この駅は地下鉄建設当時は用地買収が容易でしたが
リニモ建設の頃には市街地が発展してしまったという事情から、
地下鉄が地上高架駅でリニモが地下駅という逆転現象が起きています。
こちらは地下鉄の駅舎の西側にあるリニモの3番出口。
東側がバスロータリーとなっているのに対して
西側は人の通行する駅前広場になっているので
こちらの方が駅の正面の印象があります。
地上出口から階段を下ると地下1階はコンコース階になっています。
コンコースにある改札付近の光景。
改札内に入るとご覧の様子です。
構内には複数のPOPが立ち、フリー切符の案内ポスターもご覧の通りなので
アニメコミック系とは親和性の高い路線の様です。
ホームの様子です。
島式ホーム1面2線となっており、
起点駅ですので全ての列車が八草方面行きの下り線となります。
またリニモでは各駅にシンボルマークが設定されており
駅名標にもマークが描かれています。
こちらははなみずき通駅の駅舎の外観です。
藤が丘駅からは1kmほど東に位置する駅であり、
リニモの地下区間が終わって地上へと出てくる場所に設けられた駅です。
駅の北側にはリニモと終始並走している県道6号線が走っています。
この県道の別称は「はなみずき通り」といい、
駅の名前の由来ともなっています。
駅舎も県道に沿う形の地上駅として作られており、
駅前の広場は歩道を広くした程度のものとなっています。
県道をはさんだ駅舎の向かいにある常照寺。
リニモの走る長久手市は、戦国時代の1584年に
徳川氏と羽柴氏が戦った「小牧長久手の戦い」の舞台として有名です。
そしてこの寺には合戦で討ち死にをした羽柴方の
池田恒興、嫡男の池田元助(紀伊守)、森長可の三将の墓があるという寺となっています。
入口から階段を下りると地下コンコースがあり
改札口があります。
駅の北側の1番線ホームで、八草方面行きの下り線ホームとなります。
この駅はリニモの駅で唯一の相対式ホームの駅となっており
2面2線のホームがあります。
南側の2番線ホームで藤が丘方面行きの上りホームとなります。
ホーム西端の先には地下区間へと入るトンネルの入口が見えます。
八草方面行き列車から見た駅の東側の光景です。
こちらは杁ヶ池公園駅の駅舎の外観です。
県道6号線と県道60号線の共用区間の上を南下したリニモが、
再び東進する県道6号に合わせて曲がってすぐの場所に駅があります。
南下するリニモの車内から見た杁ヶ池公園駅付近。
すぐ北に隣接して大型総合スーパーのアピタ長久手店があるのが見えます。
名前の由来となった杁ヶ池公園は駅の南へ700mほどの場所にあります。
駅は県道の中央分離帯の上に作られた高架駅で、
コンコース階とホーム階が分かれているのが外からも分かります。
県道を跨ぐ跨道橋が作られており、
両側の歩道に作られた階段から駅へと上がる仕組みとなります。
跨道橋上の改札前の光景。
改札内の構内の様子です。
こちらがホームで、島式1面2線となっています。
ホームはフルスクリーンのホームドアでまるで温室のように。
列車内から見た駅の東側からの光景です。
駅からアピタへの直接つながっている連絡通路が見えます。
東へと進む県道の上を一緒に1kmほど進むと
ご覧の長久手古戦場駅となります。
駅の北側はご覧のように大型ショッピングセンターの
イオンモール長久手の敷地となっています。
そしてイオンの東側、駅からは北東の目の前には
こちらの駅名の由来となっている小牧長久手の戦いの古戦場跡があり、
古戦場公園となっています。
駅の西側の目の前にある古戦場南交差点の一角には
戦の幟(のぼり)を模したオブジェが。
オブジェから北へと進むと古戦場公園の入口があります。
駅へと戻り跨道橋を上がって改札前へ。
こちらがホームの様子です。
島式ホーム1面2線となっています。
イオンモールと反対側の南側を見下ろすとご覧の通り造成中でした。
ホームから東の八草方面を見た光景です。
車内から見た駅の光景です。
この駅も駅とイオンモールの間に連絡通路が延びているのが見えます。
こちらは芸大通駅の駅舎外観です。
駅の南東1kmほどに愛知県立芸術大学があるのが名前の由来ですが、
県の施設が由来になるのは県が過半数を出資する第三セクター故でしょうか。
こちらは駅の北側の出口。
隣接する県道6号線が駅付近では高架橋となっている為、
駅の2階コンコース階と県道の歩道が同じ高さで直結しています。
そして駅の北西の県道沿いに見えるトヨタ博物館。
この駅の副駅名にもなっている建物です。
列車内から見たトヨタ博物館の敷地と建物。
駅のコンコースに入りこちらが改札前の光景です。
構内側から見た改札。
この駅もホームは島式1面2線となっています。
ホームから駅の南側を見ると東名高速へと連絡をしている
自動車専用道の名古屋瀬戸道路の長久手インターチェンジが見えます。
列車内から見た駅の東側。
県道6号線の上を東に1.5kmほど進むと
ご覧の公園西駅の駅舎があります。
県道の南側に沿って駅舎があります。
南側から見た駅舎の外観です。
駅の南側一帯はご覧の様に造成中でした。
名前の通り、広大な愛知万博の敷地跡の公園の西側にあるだけに
駅周辺には道路以外の建物はまばらです。
万博期間中は長久手会場西ゲートの最寄りだったそうです。
(註:2017年10月より駅の北の目の前にIKEA長久手店がオープン)
駅舎の中へと入って改札前の光景。
改札内の様子です。
ホームの様子。
島式1面2戦ホームなのは他の駅と同様です。
列車内から見た駅の東側からの光景。
リニモの車両は引き続き県道6号の上を東進。
南側には愛知万博の跡地の公園が広がっています。
1kmほどすすんだ次の駅である愛・地球博記念公園駅です。
2005年(平成17年)の開業当初は万博会場駅という駅名でしたが
万博が閉幕した後2006年(平成18年)に現在の駅名へと改称されています。
駅舎南側の正面にあるこちらが2番出口です。
公園へはこちらから出ると正面となります。
駅の南側の駅前広場の様子を俯瞰にて。
ここがかつての愛知万博の会場メインゲートでした。
地上から見た駅前。
ロータリーの真ん中には「愛・地球博記念公園」の石標があります。
駅前の案内版と、背後に広がる公園の駐車場。
こちらは駅の北側です。
県道6号線は北側を並走しており、駅前で県道209号線が分岐しています。
階段は1番出口となっており、
目の前の愛知県立大のキャンパスへの連絡出口となりますが
どちらかといえばこちらが駅の裏側でしょう。
ホームから見た駅北側の俯瞰です。
手前の道路が県道6号線で、奥へと直角に延びるのが県道209号線です。
交差点の右の角側には愛知県立大のキャンパスが広がっており、
「県大」と文字状になった植え込みが見えます。
交差点の南側は愛・地球博記念公園への入口となっており、
リニモの高架をくぐって進むと公園の正門があります。
駅舎の中へ入り改札前のコンコースの様子です。
リニモの中間駅としては唯一の駅員配置の有人駅となっています。
改札内の光景です。
階段下には犬の立て看板が。
これは介助犬の訓練センターの最寄であることを縁に
2013年(平成25年)11月から2017年(平成29年)5月まで
愛・地球博記念公園駅の駅長を務めていた介助犬オーシャンの写真です。
こちらが島式の1、2番線ホームです。
下り八草方面行きのホームとなっています。
駅の北側にある島式3、4番線ホーム。
こちらは上り藤が丘方面行きとなります。
フルスクリーンのホームドアには
かつて万博が開催中だったときのパビリオン配置図が貼られており、
現在の光景と見比べることができました。
列車内から見た駅東側からの光景です。
列車が進むと愛・地球博記念公園の敷地が途切れ、
リニモの車両基地が見えてきます。
陶磁資料館南駅の駅舎外観です。
駅の北側の目の前には駅名の由来である
愛知県陶磁美術館があります。
駅から見た陶磁美術館の全景。元々の施設名は陶磁資料館で、
2013年(平成25年)に陶磁美術館に改称されていますが
駅名は陶磁資料館のままで現在も変更されていません。
ちなみに資料館は瀬戸市にありますが目の前に境界線があり、
駅は豊田市、そして駅舎の西の線路は長久手市というロケーションにあります。
こちらは駅舎へと上がる入口の階段です。
階段脇にエスカレーターの設置スペースがありますが
エスカレーター自体は未設置となっています。
コンコース階の改札前の光景です。
ホームはこの駅も島式1面2線となっています。
列車からみた駅の東側の光景です。
こちらは八草駅の駅前の光景です。
リニモの八草駅と愛知環状鉄道の八草駅がご覧の様に隣接しています。
東側のこちらが愛知環状鉄道の八草駅の駅舎です。
こちらは1988年(昭和63年)に開業しています。
橋上駅舎となっています。
そして西側のこちらがリニモの八草駅の駅舎となります。
2005年(平成17年)の路線開業時に新設されました。
こちらは高架駅となります。
駅舎の南正面の階段下にある1番出口。
駅前ロータリーから駅舎へと登れる入口となります。
駅前広場を上から俯瞰にて。
愛知環状鉄道の八草駅に沿って
駅前ロータリーの東側へと降りるこちらの階段が2番出口となります。
二つの駅舎はご覧の連絡橋でつながっています。
愛知環状鉄道の改札から連絡橋を西へと進むと
リニモの駅舎内の改札口へと辿りつきます。
連絡橋の西端まで進むとあるリニモの改札付近の光景。
改札内の様子です。
中に入るとすぐにご覧の階段があります。
こちらは階段下におかれたリニモの鉄道むすめ、八草みずきの立て看板です。
こちらがホームの様子です。
島式1面2線の駅となっているのは他の駅同様です。
1番線は降車専用ホームとなっており、
乗車は2番線からのみとなります。
リニモは八草駅が終点となっており列車はこの駅で折り返します。
愛環の八草駅の北側にリニモの引き上げ線の高架があり、
ご覧のように1番線を出た列車が折り返して2番線に入線してきます。
以上でリニモの東部丘陵線8.9kmは全てとなります。
こちらはリニモの区間のau 4G LTEでの電波エリアマップです。
さすが名古屋近郊だけあって、丘陵地帯にもかかわらず
全線が電波エリア圏内となっています。
藤が丘駅━はなみずき通駅間が地下区間となっていますが
それ以外の区間は全て高架線となっていますので
基本的に電波アクセスに困る事はほぼありません。
こちらは藤が丘駅からレーダーを飛ばした射程です。
射程12で芸大通駅まで届くのが分かります。
ちなみに愛知環状鉄道の八草駅からレーダーを飛ばした場合、
やはりリニモの駅で届くのは芸大通駅で射程8となっています。
つまり名古屋市営地下鉄東山線と愛知環状鉄道からレーダーを飛ばせば
理論上はリニモに乗車しなくてもコンプは可能となります。
しかしながら全線で所要時間17分、運賃340円のリニモで
わざわざ両端まで行って乗らずにレーダーを飛ばすのであれば
普通に乗ってしまったほうが楽だと思います。
まあ、日本初の営業運転中のリニアモーターカー、
一度は話のタネにも乗ってみてはいかがでしょうか。
では。
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