留萌本線a62
さて、北海道の留萌本線の続きです。


その1(深川駅━留萌駅間)はこちら



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留萌駅から先の留萌本線については
2016年(平成28年)12月を以て廃止されています。
ですので列車は走っていません。

この記事で紹介している留萌駅━増毛駅間については
廃線1ヶ月半前の2016年(平成28年)10月に写真を撮ったものです。
現在は駅や線路の撤去作業も進められており
ホームや駅舎などはなくなっている駅が多い点、
列車という交通手段では攻略できない点をご注意下さい。


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留萌駅からは2kmほど離れたこちらの
国道231号(日本海オロロンライン)から、
横道を下って日本海へと向かって行く道が駅への道となります。
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カーブの先に踏み切りが。
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この踏切の横にあるのがご覧の瀬越駅のホームです。
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ホームは1面1線の棒線無人駅です。
元々この駅は1926年(大正15年)に鉄道省留萠線の仮乗降場として
海水浴客への利便を目的にした季節営業で設置された臨時駅でした。
その後住民の利用が増えたことから正式な駅へと昇格をしています。
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ご覧の通りホームからは日本海が目前です。
…ちょっとこの日は列車が運休した強風で波が逆巻いてますが。
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駅舎は無く、ホーム上にはご覧のコンクリート製の待合室が作られています。
元々は貨車駅舎が置かれていたそうですが、
海に近い為、塩で劣化が激しくコンクリートの待合室に作りかえらえたそうです。
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待合室の中には小さな椅子がポツリ。



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瀬越駅から国道231号線(オロロンライン)に沿って4kmほど南下すると
礼受駅前バス停(鉄道廃止後は礼受第1バス停)から北に150mほどの場所に
ご覧の駅への横道となる砂利の坂道があります。
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坂を上がると広場があり、ご覧の礼受駅の貨車駅舎があります。
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こちらがホーム。1面1線の棒線無人駅です。
1921年(大正10年)の留萌本線全通時に駅が設置されました。
駅名の由来は地名からで、アイヌ語で「レウケ・プ」(曲がっている所)が由来だそうです。
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ホームから日本海は見ての通り目前です。



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こちらは国道231号線(オロロンライン)沿いにある阿分漁港。
雷雨と強風でレンズが曇ってしまいましたが
礼受駅からは1.3kmほどの距離の場所です。
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漁港のすぐ北のあたりで再びオロロンラインから横道に。
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道を進むと右手に学校が見えてきます。
これは増毛町立阿分小学校ですが、2015年(平成27年)3月で廃校となっています。
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道を進み廃校の裏手に回りこんで進みます。
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するとその名も「学校踏切」の横に阿分駅がありました。
1963年(昭和38年)に国鉄留萠本線の駅として新設された駅だそうです。
駅名はアイヌ語の「アフン」(入り込んでいる)に由来するとの事です。
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こちらが駅のホーム。1両編成の列車長よりもホームが短く、
上りの留萌方面の列車が停車すると踏切いっぱいにはみ出てしまって
道を塞いでしまう状況となります。
また踏切の遮断機の内側にホームがあるので
列車停車中は駅から出られません。
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見ての通り小学校の真裏にホームと待合室があります。
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待合室の中を見ると、地元の自治会が
駅舎の内外の環境を保っている事が分かります。



阿分駅を過ぎると列車は短かいトンネルを抜けて
300mほど内陸部を走ります。
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北海道道94号線がオロロンラインから分岐してすぐのあたりで
ご覧の留萌本線と交わる踏切があります。
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その踏切の脇に信砂駅があります。
この駅も隣の阿分駅と同じく1963年(昭和38年)に新設された駅のようです。
駅名の由来となる地名は、
アイヌ語の「ヌプサペッ」(野を流れる川)、「ヌプ・サ」(原野・浜)など
諸説がある様子です。
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こちらがホームの様子。
1面1線の無人駅であり、待合室は工事用のプレハブが用いられています。



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次の駅は信砂駅からは0.8kmという近距離にあります。
オロロンラインの舎熊郵便局付近で
横道に入ると奥の行き止まりに貨車駅舎が見えるのが駅となります。
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舎熊駅
1921年(大正10年)の留萌本線全通時に設置された駅です。
アイヌ語で「イ・サッケ・クマ」(魚を干す竿)の転訛した「サックマ」が駅名の由来だそうです。
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ホームの様子。
1面1線の棒線無人駅で貨車駅舎となっています。
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ホームからは日本海が間近です。



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舎熊駅から1km半ほど南下した
オロロンラインから朱文別沢へと通じる横道の分岐点です。
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その道を進むとまもなく留萌本線の踏切に当たります。
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この踏切の脇に、次の朱文別駅があります。
1963年(昭和38年)に国鉄留萠本線に新設追加された駅です。
駅名は地名からで、アイヌ語の「シュフンペッ」(ウグイ・川)に由来するそうです。
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こちらがホームの様子。
単式1面1線の無人駅です。
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ホーム横の待合室の様子。
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待合室の中はご覧の通りです。



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朱文別駅からは1.3kmほど西の位置付近で
オロロンラインと箸別川が交わる橋があります。
橋から南に、海岸から少し内陸に入ったところに駅前の広場があり
ご覧の築堤を登る階段が設けられています。
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こちらが箸別駅です。
1963年(昭和38年)に新設追加された駅のひとつです。
単式1面1線の棒線無人駅となっています。
駅名の由来の地名は、アイヌ語の「ハシ・ペッ」(柴木の川)がなまったものだそうです。
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ホームから見返してみると日本海は至近に見え、
駅前の広場の右すぐには箸別川が流れていて
広場前の道にも川に橋が架かっているのが分かります。
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ホームから川の方を見ると
駅のすぐそばにも架橋されていました。
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駅の待合室をなめこんだ駅の全景。
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改めてホームから駅前の風景を。
砂利の駅前広場の向こうには、駅へと通じる内陸部に入る市道、
建物の奥には日本海が見え、海岸線には国道が走っています。

ちなみに廃線後のこの駅前の広場は
現在は養殖業者の私有地となっており立ち入り禁止とされています。
ですので駅跡へはは入れない状態となっています。




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そしてこちらが留萌本線の終着駅である増毛駅です。
1921年(大正10年)に留萌本線が全通して以来の終着駅です。
駅名の由来である地名はアイヌ語の「マシ・ケ(カモメ・処)」からだそうです。
ホームは1面1線のみで、列車はスタフ(通行証)を持ってそのまま折り返して行きます。 留萌本線63
ホームから駅舎の方へ向かうと。
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こちらが駅舎となります。
「留萌本線 終着駅」の看板が掲示されています。
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駅舎の目の前のある留萌本線の終端の車止め。
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反対側からみた駅舎とホームの全景です。
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かつては貨物の側線が分岐して転車台もあったという駅構内は
現在ではホームの1線のみが棒線状に残されて
広大な空き地となっています。
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駅の外側から見た駅舎。
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待合室への駅舎の入口。
木製の駅名標が掲げられています。
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こちらが駅の目の前にある風待食堂。
食堂とありますが食堂ではなく観光案内所です。

高倉健主演の映画「駅 STATION」(降旗康男監督・1981年東宝)で
駅前の商店が食堂に改装されて撮影されたもので、
観光名所として映画の撮影セットがそのまま残されて
観光案内所としてグッズや増毛駅入場券の販売などがされているそうです。
開くのがご覧の通り9時半からなので、
7時代の始発で到着すると開いていませんのであしからず。



以上で留萌本線の全駅となります。
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こちらはau 4G LTEでの留萌本線沿線の電波エリアマップです。
留萌駅━増毛駅間の廃線区間についても
電波状況は全線にわたって良好ですので
実際に現地で駅へのアクセスに困る事は無いと思われます。



さて、ご承知の通り、
留萌本線の留萌駅━増毛駅間については
2016年(平成28年)12月4日を以て廃止
となっています。
現在も駅メモの留萌本線には駅が登録されていますが
全て廃駅扱いとなっており、実際の列車も当然ながら走っていません。
ですので列車に乗っての取得はできないという事となります。

鉄道が廃止された現在、実際にこの区間を現地に行って取るには
まずはバス利用が一番現実的な方法となるでしょう。
留萌駅━増毛駅間はほぼ国道231号線、通称オロロンラインが並行して走っており、
沿岸バスの留萌別苅線という路線がオロロンライン上を運行しています。
留萌駅と増毛駅にはそれぞれ駅前の停留場がありますし、
途中の全ての駅にも至近にバス停があります。
朝7時台から夕方18時台までおよそ2時間に1本ペースでバスが運行していますので
留萌駅━増毛駅間の攻略方法としては現実的でしょう。
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こちら沿岸バス・留萌別苅線の増毛駅停留場。
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信砂駅近くの彦部第二停留場。
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礼受駅前停留場(現・礼受第1停留場)。


上の写真を撮った日には夜明け前から雷鳴が轟き、
オロロンラインを歩くと強風で体が持っていかれそうでした。
実際朝の列車を最後に留萌本線は強風で運休していましたし。
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私は増毛駅から4時間かけて留萌駅まで歩いたので
駅到着後に運休を知りましたが、沿岸バスは普通に定期運行していて
何度も追い抜かれたりすれ違いました。
このバス路線は列車廃止後は貴重な住民の足ですので
おいそれとは無くならないかと思います。
廃止後の実質的な代行バスですので、
公共交通機関で攻略する方はこのバスが最初の選択枝となると思います。


そしてその1でも述べましたが、JR北海道は深川駅━留萌駅間の留萌本線も廃止する意向であり、
実際に沿線自治体に廃止したい旨を表明伝達するなど
廃線へ向けての調整が具体化しています。

2020年(平成32年)を目処に廃止したい意向の様子ですが、
これまでの北海道で廃止された路線の動向を見る限り
高い確率で廃止は現実のものになりそうです。


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こちらは留萌駅からレーダーを飛ばした場合の
ボロノイ図上での射程距離図です。
見れば分かりますが留萌駅から射程12で増毛駅までレーダーが届きます
お手軽に済ませたいのであれば、まだ列車が運行している留萌駅まで行き
レーダーを飛ばせば留萌本線は廃止区間も含めて攻略ができる
でしょう。
しかしこの手法が使えるのはおそらく2020年までだと思われます。

留萌本線が全廃となった場合、
おそらく代替バスも留萌を境に分割されそうな気がしますし、
実際に現地まで行くにはなかなかの労力と時間が掛かりそうです。
高速バスで取りに行く方法なども考えられますが、
既存路線からレーダーでは取れなくなりますので
レンタカーなどの選択肢が現実的なものとなりそうです。



私は列車が走っているうちに乗っておきたい、と
区間廃止前に行ってきましたが、「廃止直前」のローカル線を見たのは初めてで
ずぶ濡れになりながらも正直いろいろと楽しい体験でした。
以上の情報が参考になれば幸いです。


では。