でんこの元ネタ
■No.75 阿下喜ニナ(Ageki Nina)
 ■タイプ:アタッカー
 ■誕生日:2月7日

■出身駅: 三岐鉄道 北勢線 阿下喜駅(三重)
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阿下喜駅が開業したのは1931年(昭和6年)7月8日 のことで、
当時この地で桑名の財界人が中心となって発起された北勢軽便鉄道の駅としてでした。

阿下喜の地は北の美濃からの街道と、桑名へと通じる濃州道(員弁街道)が交わる宿場町で、
江戸時代には桑名から員弁(いなべ)川を舟運が遡る商業が栄えた土地だったそうです。
ここに三重県北部では3番目となる軽便鉄道の敷設が計画され、
1914年(大正3年)に大山田駅(現・西桑名駅)━ 楚原駅間が開通しました。

その後の延伸によって1916年(大正5年)には六石駅(2004年廃止)まで延伸したものの、
阿下喜駅までのわずか1.4kmの区間の工事が地形に阻まれて
第一次世界大戦の最中という条件もあり難航。
結局免許を取得し着工したのは1930年(昭和5年)となり、
翌年の1931年(昭和6年)に阿下喜駅が終着駅として開業しました。

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こちらが現在の阿下喜駅の駅舎の外観となります。
元々は木造の駅舎が建っていましたが、
2006年(平成18年)に改築されて現在の駅舎となっています。
駅舎入口に扉は無く、ポリカーボネイトの防風板が設置されています。
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駅前の広場の様子です。
中央に街頭が立つ島のあるロータリー状となっています。
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左手を見ると駅舎前の赤川という川に小橋が架かっていて
脇には駅周辺の名所案内の看板があります。
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対岸から見た赤川の小橋。
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橋を渡った駅の対岸にはコンビニエンスストアがあります。

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駅前ロータリーに面する道路から北へと70mほど進み、
先ほどのコンビニの前を通過するとまもなく信号があります。
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この信号の角にあるのが「阿下喜温泉 あじさいの里」です。
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こちらの施設は2006年(平成18年)に設置されたいなべ市の公共施設であり、
天然温泉の大浴場のほかに健康増進施設や食堂、物販店を併設しています。

三岐鉄道ではこの阿下喜温泉までの入場券付き往復切符を企画切符として発売しており、
この施設が阿下喜駅の観光名所の一つとなっています。

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駅舎へと戻りこちらは入口付近の光景です。
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駅舎内へと入ると左手の壁に待合室へのドアがあります。
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待合室にはベンチと自販機が置かれており、
エアコンで空調も効いているのでなかなか快適でした。
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待合室の向かい側にはトイレがあります。
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通路の奥には自動改札機が設置されており、その前には有人窓口があります。

北勢線では起点の西桑名駅以外の全駅が東員駅の運転司令室での集中管理となっており、
この阿下喜駅も駅舎改築時に無人遠隔管理に対応した設備となっています
が、実際には朝の時間帯と午後には駅員が配置されており
列車到着時には有人での対応を行っています。
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ホーム側から見た改札付近の光景です。
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こちらがホームの様子です。島式ホーム1面2線となっています。
かつては単式ホーム1面のみの駅でしたが、
2006年(平成18年)の改修によって構内2線化が行われて島式ホームとなりました。

尚、駅名標は他の駅の様にプラスチック製のものが無く、
掲示パネルに画鋲で留められた紙製でした。
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写真の列車が停まっている側が1号線、反対が2号線ホームとなります。
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ホーム西端の西桑名方の光景。
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こちらは駅舎手前で止まっている1号線の車止め付近です。
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同じく2号線の車止め付近。

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そして駅の南側、1号線の線路の反対側にはご覧の転車台と線路が見えます。
こちらはボランティアで運営されている軽便鉄道博物館の施設となります。

停まっている電車はモニ226で、1983年(昭和58年)に廃車になるまで
北勢鉄道時代から現役で走っていた車両です。
また転車台は阿下喜駅の北側で埋もれていたもので
かつては木材運搬の為に活躍をしていたものを2004年(平成16年)に
この場所に復元したものです。
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駅舎の南側に駐輪場が設けられていますが、
線路に沿って奥へと進むと転車台があります。
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地上から見た転車台と軽便鉄道博物館の施設です。
通常時は博物館は閉まっておりモニ226も車庫前に留置されています。
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この軽便鉄道博物館は毎月2回、第1第3日曜日に開館しており
ミニ電車を走らせ博物館の中も公開しています。
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こちらが博物館の中の様子です。
ミニ電車などを格納する車庫の壁に北勢線に関する展示がされています。



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所は変わってこちらは三岐鉄道三岐線の伊勢治田駅です。
三岐鉄道は三重県内北部で並走するように二つの盲腸線を運行しています。 ニナ21
そして三岐線で終点から4駅目の伊勢治田駅と、北勢線の終点の阿下喜駅は
ご覧の通り2.1kmの距離にあります。
ですので徒歩移動でも30分弱での移動が可能となります。
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伊勢治田駅の駅前広場から、前の道を北へと進んで
三岐線の踏切を越えます。
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圓福寺というお寺の前を通過。
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古い住宅地を抜けて坂を下ると
国道365号線の権現坂交差点となり角にコンビニがあります。
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権現坂交差点。
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国道を越えて更に坂を下り、S字のカーブの先で員弁川を渡ると
阿下喜の市街地へと入りすぐに駅が見えてきます。

三岐鉄道では三岐線と北勢線の両方で使える一日パスを発売していますので
徒歩でのワープは鉄道ファンの間では割とメジャーなルートの様です。



■モデル車両: 三岐鉄道 270系電車
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北勢線は元々は北勢軽便鉄道として開業しましたが、
その後国家総動員法による陸運統制令に基づく閣議決定によって
三重県の6鉄道が合併して1944年(昭和19年)に三重交通となり、
1965年(昭和40年)には近鉄に買収され近鉄北勢線となります。

そして当時の近鉄が北勢線の近代化事業の一環として
1977年(昭和52年)に近畿車輛で新規製造を行ったのがこちらの270系となります。
導入時にはモ270形(制御電動車)が271~276の6両、
ク170形(制御車)が171、172の2両と計8両が新たに新製されました。
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ところで北勢線は特殊狭軌線(ナローゲージ)と呼ばれる軌間762mmとなっています。
写真の運転士と対比して見てみると、車体にコンパクトさを感じると思います。

そもそも新幹線などで用いられている国際標準軌が1435mmであり、
日本で広く採用されている1067 mmの軌間は狭軌となります。
ですからJRなども本来はナロー(狭)ゲージ(軌)なのですが、
歴史的経緯で日本では狭軌がスタンダードとなっていることから
日本でナローゲージと言えば軌間762mm以下の鉄道を指すのが一般的です。


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こちらがモ270形で、モーターを搭載して列車を引く制御電動車となります。
基本的に北勢線では電動車が阿下喜方に編成されます。
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モ270形の車両の桑名方の屋根にはパンタグラフが載っていますが
小さい車体との対比でその大きさが目立ちます。
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車内の様子です。座席はロングシートとなっています。
やはりナローゲージ車両ですので普段JRなどの車両の大きさに
感覚が慣れていると若干の狭さを感じます。
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阿下喜方の車端部の様子です。
運転台のすぐ後ろには冷房装置が置かれています。
これは2006年(平成18年)より行われた冷房化工事で設置されたもので、
車両重心などの問題から床置きとなっています。
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こちらが1977年(昭和52年)に新規導入された
モ270形の271から276までの6両です。

2005年(平成17年)以降には車両の高速化工事、
そして2006年(平成18年)以降には車両の冷房化工事が行われていますが、
車両ごとに工事の行われたタイミングや内容が違う為、
こうして並べると各車両ごとに微妙に形が違っているのが分かります。

また高速化工事が行われたことで271、272の2両はクモハ270形に、
同じく高速化工事が行われたものの冷房の搭載されていない273から276までの4両は
クモハ273形へとそれぞれ車両形式番号の変更が行われています。

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こちらは1990年(平成2年)に北勢線に増備されたモ277形です。
近鉄内部線及び八王子線(現・四日市あすなろう鉄道)用の260系を流用して作られた車両で
導入しされたのはこの277の一両のみとなっています。
番号的には270形の続き番号となっています。


以上の271から277までの7両が「三岐鉄道270系」の電車です。
駅メモのでんこ「阿下喜ニナ」のモチーフが270系であると考えれば
以上の7両がモデル車両
となります。
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ですが実際の運用ではこの270系を阿下喜方の先頭車両として
それぞれの編成を組んでおり、三岐鉄道では7編成が走っています。
271F(Fは編成の意)から277Fの7編成はそれぞれ固定の編成となっていますので、
ここでは270系電車と一体のものとして見て
以下に編成の付随車両についても記したいと思います。


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こちらはクモハ170形の171です。
元々はク170形として、モ270形の6両と共に
1977年(昭和52年)に新規導入された車両です。

北勢線では西桑名方の先頭車両は制御車(動力を持たず運転台のある車両)が編成されており
このク170形も導入時は制御車でしたが、2006年(平成18年)の高速化工事で
台車が動力着きに交換されて制御電動車となったことから
形式番号がクモハ170形へと変更されています。
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同じくクモハ170形の車両である172。
この形式の車両で新製されたのは171と172の2両のみです。
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172の車内の様子です。
車両の両端部に冷房機が設置されており
座席はロングシートとなっています。


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桑名方の制御車であるク140形です。

元々この車両は、三重交通三重線の車両として
1960年(昭和35年)からサ2000形として7両が作られたものです。

1964年(昭和39年)に三重電気鉄道湯の山線が改軌されると
全車が北勢線に転籍。三重電気鉄道が近鉄に合併されると
サ140形の141から147へと車両形式番号が改番されました。
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そして北勢線の近代化が行われた1977年(昭和52年)に
奇数番号の141、143、145は西桑名側に270系の運転台が新設され
モ270形と固定編成を組む事となります。
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こちらは偶数番号の142と144です。
北勢線近代化の際にはこちらの2両も阿下喜方に運転台が付けられましたが、
三岐鉄道移管後の2003年(平成15年)には運転台が撤去されて
再び付随車へと戻されてサ140-1形の142と144となっています。
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そして146と147の2両は北勢線への転籍以来、中間付随車として
編成の中央のロングシートの客車車両として運行しています。


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こちらはサ130形となります。
中間車両として連結される付随車であり
元々は三重交通サ360形として運行していましたが、
近鉄への吸収合併によってサ130形に改番されています。

車体は各部の丸みの強い準張殻構造となっていて
車端部が直線の切妻となっている270形とは若干イメージが異なります。
また三岐鉄道では運転台を取り付けた車両があったり
妻面への貫通扉の設置など各車両ごとに細かく改造が行われており、
同じ130形でも部分によって微妙に形が違っています。


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こちらは三岐鉄道200形の編成で、
湘南型の2枚窓構成のク202、付随車のサ101とサ201の3両が
270形のモ277に連結されて4両編成となっています。

元々は三重交通モ4400形という電車でしたが、
三重電気鉄道、近鉄を経て車番が改番されており、
また三岐鉄道の近代化事業で現在の編成となっています。

車体の色は三岐鉄道への転用時には黄色でしたが、
2013年(平成25年)の北勢線開業100周年記念の一環として
三重交通の標準色であったクリーム色とグリーンのツートンとなりました。


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北勢線ではこのように数種の車両が在籍しています。
時代によって3両から4両の編成で変遷している様子ですが、
基本的に固定編成となっており、パンタグラフが載った電動車が
阿下喜方につながれるのは変わっていない様です。


三岐鉄道270系の8両が北勢線に配置されたのは
1977(昭和52)年10月11日となります。
また北勢線が開業したのは1914年(大正3年)4月5日です。
駅メモのでんこ「阿下喜ニナ」の誕生日は2月7日に設定されていますが、
車両や路線の歴史を調べてみても2月7日に因んだものは見当たりません。

こうした点をふまえると、2月7日という誕生日の設定、
そしてニ(2)ナ(7)という名前などは、
モチーフとなった車両の270系という数字から因んだという説がどうやら有力な様です。

【写真撮影:2017年12月】