でんこの元ネタ
■EX No.27 ツー・スイラン(紫 翠蘭:Zi Suiran)
 ■タイプ:サポーター
 ■誕生日:9月9日

■出身駅: なし(路線としては秦皇島山海観光鉄道)
スイラン27

秦皇島の名前は秦の始皇帝が紀元前215年にこの地を巡察し駐屯した事が由来であり、
地名に皇帝の名を頂いた中国唯一の都市となります。
戦国時代には燕国、漢の時代には幽州に属していた地域であり、
現在は河北省の東端の秦皇島市となっています。


京奉鉄道(京奉鉄路)は北京から山海関を経て奉天 (瀋陽) に至る
全長847kmの鉄道で、1911年(明治44年)に全線が開通した
中国で実質的に最古の鉄道です。

1898年(明治31年)に秦皇島港が開港すると石炭輸送の需要が高まり、
これを受けて1915年(大正4年)に京奉鉄道から南に鉄路が延伸されました。
これが柳江鉄道という軌間762mmのナローゲージ路線で
以後延長や改修が行われ、秦皇島港から秦皇島市街地までの
およそ23kmあまりの鉄道路線となります。

また1923年(大正12年)には同じくナローゲージの長城鉄道
長城炭鉱の石炭輸送鉄道として建設され、
この二つの地方鉄道路線が山海観光鉄道の前身となります。


1943年(昭和18年)には太平洋戦争によって柳江鉄道の線路はゲリラに破壊され停止。
その後1948年(昭和23年)に秦皇島が解放されると
残った長城鉄道は河北省で運営されている唯一の地方鉄道となります。

しかし頼みの長城炭鉱の資源が枯渇したことから1950年(昭和25年)に炭鉱は移転。
貨物や人員の輸送需要が無くなった長城鉄道は発展する港湾の需要を見込んで
1952年(昭和27年)に路線の南側を海沿いの旧柳江鉄道の路盤へと移転。
併せて中国国鉄に合わせた軌間1435mmの標準軌へ改軌を行っています。
スイラン03
道路の発達していなかった時代には秦皇島地方鉄道となったローカル鉄道は
都市部と農村部の間を移動する人や物資の主要な選択枝となりました。
しかしモータリゼーションが進んだ上に、秦皇島市の急速な経済発展で市街地が拡大し
街のメインストリートを鉄道が横切るという状況が発生。
街の発展に貢献した鉄道は次第に開発や交通の障害へと成り下がったのです。


断続的に小型鉄道の撤去の要求が上がる中で秦皇島市の委員会と市政府は
2016年(平成28年)に地方鉄道移転プロジェクトを発足。
既存の鉄道を利用して秦皇島の観光産業の発展を目指すという
山海観光鉄道プロジェクトが行われる事となったのです。
スイラン04
こうして生まれたのが中国初の観光鉄道である山海観光鉄道です。
観光鉄道の建設にあたっては、既存の鉄道施設の改修リニューアルや新設の他に
3万7千本の樹木、60万本の灌木(低木の植え込み)、
556,000平方メートルにわたる花壇の整備などを行い
沿線の違法建築物やごみの撤去など非常に中国らしい大規模な工事が行われました。
スイラン02
【上写真:9月9日に試運転を行う秦旅山海号】
山海観光鉄道が開業したのは2017年(平成29年)9月9日となります。
初日には機関車に引かれた秦旅山海号の客車が路線を走って試運転を行っています。
秦皇島市民対象の無料の試乗会を行って「秦旅山海号」は本線上で試運転を重ね、
実際に旅客営業を開始したのは9月23日からでした。

駅メモのエクストラでんこのツー・スイラン(紫翠蘭)の誕生日が9月9日であるのは
山海観光鉄道の開業日が元
であると考えて良いでしょう。


余談ですがツー・スイランは漢字で書くと紫翠蘭ですが
中国で使われる簡体字ではスイラン28となります。
読み方はピンインでは「Zi Cuilan」となり
カタカナ読みでは「ツー・ツゥイラン」といったところでしょう。
しかしゲーム内では「スイラン(Suiran)」と何故か日本語読みで表記が成されています。
確かに翠蘭を「スイラン」と日本語読みした方が馴染み易いと思いますが
一人だけ日本語読みと不統一であるのは気にかかる点ではあります。


スイラン05
上の図は山海観光鉄道の路線図です。
秦皇島の沿岸部と山間部を繋ぐ路線で沿線の数多い名勝や観光地を連絡しています。
以下で主な駅について見てみたいと思います。

スイラン06
こちらが山海観光鉄道の起点となる秦皇島港老碼頭站(開埠地站)で、
日本語で書くと「秦皇島旧ターミナル駅(開放港駅)」となります。
元々は秦皇島港の発祥の地であり石炭埠頭の鉄道管制室だった場所でしたが
2013年(平成25年)に埠頭は閉鎖されており、
跡地を歴史的文化的遺産として整備したものです。
スイラン07
この観光鉄道駅は海から55mという距離にあり、
目の前の古い桟橋はファッショナブルなオープンポートアベニューとなり
海はエンジェルベイと名付けるなど古い桟橋全体が観光資源へと作り変えられています。

スイラン24
中間駅となる東徐莊站です。
山海観光鉄道で新設された3つの駅のうちの一つとなります。
スイラン25
この駅は観光鉄道敷設にあたって駅周辺に32ヘクタールの広大な花畑を造成しており、
ご覧の通りの大規模総合観光体験パークとなっています。

スイラン08
そしてこちらが終点となる板廠峪站です。
南端の秦皇島港からはおよそ41kmの距離にあり、
万里の長城の東端のある山間に駅はあります。
スイラン11
こちらは板廠峪站の横にあるチケットセンターで
駅の発券業務もこちらで行われています。



■モデル車両: 秦皇島山海観光鉄道 東風4D(DF4D)4000系-4406「秦旅山海号」
スイラン01


秦皇島山海観光鉄道の機関車である東風4D形(DF4D)ディーゼル機関車
元々は中華人民共和国鉄道部(中国国鉄)の開発した気動車です。

スイラン09
【上写真:東風4D(DF4D)ディーゼル機関車】
中国鉄道省は鉄道輸送の競争力を向上を目指して5ヵ年計画を実施。
大規模な高速化を実施する為に中国中車の大連機関車で
1996年(平成8年)に開発されたのが東風4D旅客機関車となります。
最高速度145km/hの車両は2003年(平成15年)に製造を終了するまでに
計575台が量産されており、現在も各地で見かける中国の代表的な機関車です。

そして大連機関車では東風4D旅客機関車をベースとして東風4D貨物機関車を開発。
1998年(平成10年)より量産を開始しています。
この貨物用機関車は4000系として付番されており、
いわば東風4D(DF4D)4000系となります。
スイラン10
秦旅山海号の車両番号を見るとDF4D-4408と付番されており、
4000番台であることから元は貨物用の機関車であったことが分かります。

元々は中国国鉄の丹東で稼動していた機関車を山海観光鉄道で購入した様で、
外装を塗り直すなど観光用にリニューアルされて現在の姿となっています。

スイラン18
5両ある客車は車体のベース色として
中国伝統文化の中でも高貴な色とされる紫(    を用いています。
そしてその紫色の車両側面には沿線に数多い観光名所の中から
12の風景が選ばれて描かれています。

また列車のメインテーマが「愛」となっており、
各車両ごとに個別にテーマが設けられて天井に油絵が描かれています。
スイラン13
「一見鍾情」
一目惚れ。多くの野鳥を見ることができる北戴河区の国家湿地公園がモチーフです。
スイラン14
「比翼雙飛」
二羽の翼(仲が良い夫婦)。青を基調に空を舞う双子のカモメが描かれています。
スイラン16
「花好月圓」
花と月(夫婦円満)。万里の長城の山海関をモチーフに花と満月を描いています。
スイラン15
「海誓山盟」
海の誓い(お互いに永久に変わらぬ愛)。渤海に突き出る万里の長城の東の端である
老龍頭をモチーフとしており、秦皇島の北部山岳地帯を望む海の光景を描いています。
スイラン17
「百年好合」
何百年もの調和(生涯一緒)。渤海に面する高級リゾート地である
北戴河の変わらぬ夕景がモチーフとなっています。

スイラン20
座席の背もたれには折りたたみのテーブルがあり、
テーブルの裏には秦皇島の観光地の写真が貼られています。
スイラン19
また車両の妻面の壁や通路などには昔の秦皇島の写真が掲示されているなど
観光列車として秦皇島をアピールする姿勢がうかがえます。
スイラン23
そして観光列車である秦旅山海号の車内では
四川の川劇やさまざまなアトラクションが行われ乗客を楽しませています。


スイラン21
また2018年(平成30年)には秦旅山海号にご覧の緑色の車両が追加されており、
座席や内装に木を使ったアンティーク調の車両となっています。
スイラン22
革張りのソファが置かれたVIPルームの車両も。


スイラン29
【上写真:嵯峨野観光鉄道トロッコ列車、門司港レトロ線トロッコ列車】
廃線の鉄道路線を観光路線へと転用する事例といえば
日本では嵯峨野観光鉄道(1991年(平成3年)開業:JR山陰本線の付け替え廃止旧線を利用)や
門司港レトロ観光線(2009年(平成21年)開業:港湾の貨物線廃線を利用)などがあります。
スイラン30
また2000年代初頭から日本では観光列車が次々と誕生して
「列車に乗ること自体が目的」というコンセプトを生み出します。

今回の山海観光鉄道の誕生からの経緯を調べてみると、
「時代の波に押されて衰退した鉄道に新たな付加価値を与えて観光資源化する」
という手法が日本の各地の観光列車と同じ発想であることが分かりました。
時期を考えても秦旅山海号が日本の事例を参考にした事は明らかだと思います。


スイラン26
秦皇島山海観光鉄道の秦旅山海号については以上となります。
追加の情報などがあれば追って追記したいと思います。

では。