大井川鐵道井川線c55
引き続き大井川鐵道井川線の記事です。


その1(千頭駅━奥泉駅)はこちら
その2(奥泉駅━奥大井湖上駅)はこちら



大井川鐵道井川線70
こちらは奥大井湖上駅━接阻峡温泉駅間のトンネルの配置図です。
さすがに井川線も終点が近づくにつれて周囲の山々も険しくなってきており
ご覧の様にトンネルが細切れで連続してある状態です。
大井川鐵道井川線72
そしてこちらがau 4G LTEでの電波サービスエリアのマップです。
奥大井湖上駅から、路線が県道388号接岨峡線を越えるあたりまでは
井川線の線路は電波圏外である事が分かります。
仮に電波が圏内だったとしても、奥大井湖上駅から県道までは
トンネルの連続区間ですのでGPSの受信はまず無理です。

しかし中間地点を過ぎて県道を越えたあたりからは電波圏内となります。
トンネルもちょうど途切れている区間なので
次の駅については到着前にアクセスが可能だと思います。



大井川鐵道井川線77
次の駅である接阻峡温泉駅の駅舎の外観です。
1959年(昭和34年)の旅客営業開始時に川根長島駅として開業した駅です。
長島ダム建設による井川線の新線付け替えのあった1990年(平成2年)に
現在の接阻峡温泉駅へと改称されています。
大井川鐵道井川線c56
駅舎の中の様子。
大井川鐵道井川線c58
こちらはホーム側から見た駅舎の光景です。
改札前からホームへは構内踏切で連絡しています。
大井川鐵道井川線c59
ホームの様子です。
島式ホーム1面2線の駅となっています。
大井川鐵道井川線c60
駅が出来た当初の川根長島駅時代には相対式ホームの駅だったそうで、
その当時の上り線ホームは今でも駅の南側に残っています。
大井川鐵道井川線c61
駅前へと戻って正面の道の脇にはご覧の民家が。
壁には「携行品預かり所」の表示が書かれています。
現在も営業しているのかどうかは謎ですが。
大井川鐵道井川線79
その建物の壁には「大井川鐵道バス閑蔵線」の
バス停への案内図が貼られていました。

本数の少ない井川線の列車を補完する目的で
バスを利用する方は少なくないと思いますので
県道に設置されたバス停までの光景を見てみたいと思います。
大井川鐵道井川線80
駅舎や先ほどの民家を背にした南側の光景です。
大井川鐵道の車庫が見えますが、その横を進んで行きます。
大井川鐵道井川線81
車庫の裏手で道がカーブしていますが、
カーブミラーには「バス乗場」の表記と矢印の案内が。
大井川鐵道井川線82
その先には大井川鐵道の踏切があります。
大井川鐵道井川線87
踏切から南側の千頭方面を見るカーブとトンネルが。
大井川鐵道井川線88
列車が来るとこんな感じになります。
大井川鐵道井川線83
踏切から先の道はご覧の通りで。
大井川鐵道井川線84
道を下りきるとこちらの県道388号接岨峡線へと辿りつきます。
駅から県道までおよそ3、4分といったところでしょうか。
県道には駅を示す標識、そして丸太を立てた
駅への案内のオブジェが立っています。
大井川鐵道井川線85
この丸太の、県道の反対側を見ると
「川根本町資料館やまびこ」という建物が建っており、
その前に大井川鐵道の閑蔵線のバス停があります。
大井川鐵道井川線86
駅への入口の道路付近の県道を北側から。
大井川鐵道井川線91
閑蔵線のバスはご覧のようにやって来ます。
バス停は千頭方面行きの南側側にしかありませんが、
手を上げてアピールすれば閑蔵方面行きのバスも普通に停まってくれます。
大井川鐵道井川線89
振り返って県道を北の井川方面へ2分ほど歩くと
ご覧の接阻峡大橋があります。
大井川鐵道井川線90
橋の前には、おそらくこの駅で唯一食事ができる「天狗石茶屋」があります。
また橋を渡った反対側には300円で温泉に入れる接阻峡温泉センターが。


大井川鐵道井川線a19
接阻峡温泉駅を出た列車は山林の中を進みます。
大井川鐵道井川線a20
こちらは本川根町(現・川根本町)で整備した遊歩道。
「くりぞうりさわばし」というかつての尾盛駅へと通じる道でした。
現在は旧道、新道ともに廃道となっています。
大井川鐵道井川線a08
接阻峡温泉駅━尾盛駅間の路線のトンネルの配置図です。
このあたりまで来ると電波の入らないトンネルの連続ですので
基本的には駅の停車時に位置情報は取るべきでしょう。
それだけの時間も余裕もありますので
わざわざ駅間で駅が取れないリスクを犯す必要性はありません。


大井川鐵道井川線c63
こちらが次の駅となる尾盛駅です。
1959年(昭和34年)開業の駅ですので
この路線が旅客営業を開始すると同時に開業した駅となります。
大井川鐵道井川線a21
近年は「秘境駅」と呼ばれるたどり着くのが困難な駅が注目を浴びていますが、
「鉄道以外では行けない」本当の秘境にある駅は
北海道の小幌駅とこの尾盛駅くらいで、
その意味でも「本当の秘境駅」と言えるでしょう。
大井川鐵道井川線c62
こちらが尾盛駅の乗降ホームです。
単式ホーム1面1線の無人駅となっており、
バタ角で小砂利が囲われているだけのシンプルな造りです。
大井川鐵道井川線a30
井川方面へと続く線路。
大井川鐵道井川線a22
こちらはプラットホームの様になっている
駅名標と倉庫のある場所です。
開業当時はこの駅は相対式2面2線の駅として作られており、
こちらはかつての下り線ホームの跡となります。
大井川鐵道井川線a23
こちらは駅の倉庫です。
実質的には駅舎であり待合室なのですが、本来は駅の倉庫です。
この駅近辺ではクマが出没する事があることから、
乗降客の避難所として倉庫を開放しています。
大井川鐵道井川線a24
倉庫の中の様子。
大井川鐵道井川線a25
倉庫の脇には大井川鐵道名物の信楽のたぬきがあります。
大井川鐵道井川線a26
駅の南側には18キロポストがあり、
その向かいあたりには廃屋があります。
大井川鐵道井川線a28
こちらがその廃屋。
トロッコ列車の車掌が「ダム建設の為に作られた」と案内するこの駅で、
この廃屋はかつてのダム建設関係者が使ったのでしょうか。
大井川鐵道井川線a29
斜面下にはもう一つ廃屋が。
大井川鐵道井川線a31
せっかくなので駅の裏の小山に登って俯瞰でも撮ってみました。
たしかに現在では周囲に道は見当たらず、
この駅に鉄道以外で到達するには山林を分け入るしか無さそうでした。
大井川鐵道井川線92
こちらが尾盛駅の周辺の
au 4G LTEでの電波サービスエリアのマップです。
ご覧の通り完全に電波サービスエリア圏外です。
尾盛駅を取るには電波の入る接阻峡温泉駅
もしくは近隣の射程圏内の駅から
レーダーを飛ばすしか無い
でしょう。

ただ、どうやら大井川鐵道のこのあたりは
auの電波が気象状況などで届くケースがある様子
です。
大井川鐵道井川線c64
こちらは2019年(令和元年)に尾盛駅で列車が停車した際の
携帯の電波の状況です。ご覧の通り電波が入っているのが分かります。
この日は上りでも下りでも電波が入りましたが、
auの公式ページでは尾盛駅は電波圏外となっているので
恐らく条件が良かった日なのでしょう。
という訳で、運任せの話になりますので
基本的にはこの駅は圏外と考えるべきでしょう。

また、道が通じていないので当然ながら
大井川鐵道バス閑蔵線もこの駅には寄れません。
鉄道以外でのアクセス方法は無いと考えてください。


大井川鐵道井川線a32
こちらは尾盛駅━閑蔵駅間にある「関の沢橋梁」から見た景色です。
川底からの高さが70.8mで現在(2017年3月)日本で一番高い鉄道橋梁です。
大井川鐵道井川線a33
そしてその先にはご覧の場所があります。
ここは2014年(平成26年)の崩土崩落によって
大井川鐵道が2年半にわたって不通となった原因の崩落現場です。
ご覧の通り復旧に際して大量の砂利が投入されて路盤を安定させる措置が取られています。
大井川鐵道井川線a09
こちらは尾盛駅━閑蔵駅間のトンネルの配置図です。
見ての通りそのほとんどがトンネル区間となっています。


大井川鐵道井川線c65
こちらは尾盛駅から北東に直線で1.8kmほどの位置にある
静岡市道閑蔵線という道路です。
県道388号接岨峡線は接阻峡温泉駅の北までとなっており、
その先を北に進むと接阻トンネル、新接阻大橋があり、その先がご覧の場所となります。
大井川鐵道井川線94
十字路のように道が分岐しているこの場所の道路脇には
大鐵バスの閑蔵駅前停留場とバスの転回場があります。
閑蔵線のバスはこちらが終点となります。
大井川鐵道井川線95
バス停の北側の道にはご覧の通り駅への案内表示があります。
大井川鐵道井川線96
この道を西へと入って進むと井川線の次の駅があります。
大井川鐵道井川線98
40mほど進むと線路が見え駅前の広場へ。
こちらが閑蔵駅の全景です。
駅は1959年(昭和34年)に大井川鐵道へと転換した際に設置されました。
周辺に民家は散在する程度でしたが、旅客営業に際して
閉塞区間を短くする為に設置された駅なのだそうです。
大井川鐵道井川線c66
広場の脇にはご覧の建物がありますが、
こちらは保線の倉庫と駅のトイレの建物です。
大井川鐵道井川線c67
その奥の線路脇には駅の待合室が。
大井川鐵道井川線c68
待合室から更に線路脇を北に進むと
ご覧の通り駅のホームがあります。
列車交換可能駅であり、ホームは相対式2面2線となっています。
大井川鐵道井川線c69
ホームの様子です。
こちらは駅の北側にある下り井川方面行きホームとなります。
舗装されたホームの幅自体は狭いのですが、
ホームの後ろのスペースが広く取られており
大井川鐵道名物の信楽焼の狸も置かれています。
大井川鐵道井川線c71
南側の上り千頭方面行きホームは切り通した石積みの擁壁がありますが
若干ホーム幅が広めに作られていました。
大井川鐵道井川線c70
ホームを出て保線小屋の前の広場へと戻ると
市道へ連絡している道の脇には井川線のトンネルがありました。
大井川鐵道井川線a05
市道閑蔵線まで戻り、井川方面へと北に進むとご覧の通りの狭隘区間となります。
「車一台分のすれ違いも厳しい狭い道」と聞いていましたが、
実際に見る限り車の運転が苦手でなければ普通に通行できる道でした。
表示の通り大型車は無理でしょうが普通車なら問題無いかと。
大井川鐵道井川線a06
少し進むと左に並走する線路が。
振り返ると閑蔵駅すぐのトンネルの出口がありました。
大井川鐵道井川線a07
井川線のトンネルの上のカーブのあたり。
このレベルでの道が続くのであれば
普通車で井川駅へと向かうのは別段問題は無さそうです。
閑蔵駅━井川駅間は大井川鐵道の営業キロでちょうど5km。
市道もおそらくほぼ同じ距離でしょう。
車なら恐らく10分程度、徒歩なら片道1時間強~1時間半程度で
井川駅まで歩けそうです。
大井川鐵道井川線a10
閑蔵駅周辺のau 4G LTEでの電波状況です。
ご覧の通り駅の前後はほぼ全線で電波圏外となっています。
接阻峡温泉駅から閑蔵までの市道閑蔵線の接阻トンネルを
横から山道で迂回して真上に行くとアクセスできる場所はある様子ですが
それだけの為に1時間前後を歩くのは現実性があまり無いでしょう。
基本的にはGPSでは取れないと思って下さい。


大井川鐵道井川線a48
山間を進む井川線の列車。
大井川鐵道井川線d01
閑蔵駅から次の駅までのちょうど中間あたりにある
こちらは奥泉ダムです。
大井川鐵道井川線a12
こちらは閑蔵駅━井川駅間のトンネルの位置。
そもそもほとんどの区域が電波圏外ですので
トンネルの位置はあまり関係が無いのですが参考に。





大井川鐵道井川線c73
こちらが1957年(昭和32年)に完成した井川ダムです。
大井川鐵道井川線は大井川流域の電源開発、つまりダム建設の為に作られた路線であり、
この井川ダムはその象徴的なダムと言えます。

井川線が旅客営業を開始したのもこの井川ダム建設で水没した
集落住民への補償事業の一つなのだそうです。
大井川鐵道井川線c75
ダム東側にひろがる井川湖。
大井川鐵道井川線c76
そしてダムの北側の右岸には中部電力の井川展示館があり
ダムや電力についての展示が行われています。
大井川鐵道井川線c74
そして井川ダムの上は道路となっており、
県道60号南アルプス公園線として静岡市外と奥大井を連絡しています。
この県道もかつての井川林道をダム建設の補償として整備したものです。
大井川鐵道井川線c77
県道はダム北側の大井川右岸を左へと曲がっており、
その先に井川線の駅、そして井川の中心街へと通じています。
大井川鐵道井川線c78
道路から見える井川ダムの下流側の大井川の様子。
大井川鐵道井川線c72
ダムから県道を180mほど進むと駅の入口となる広場が見えてきます。
大井川鐵道井川線c79
県道に面した駅前の広場。「やまびこ」という売店があって
蕎麦や山菜などを食べたり地場産品の購入ができます。
大井川鐵道井川線c85
広場脇の県道沿いにはバス停があり、
その横には井川の観光案内マップがあります。
大井川鐵道井川線c80
そして奥には上へと登る階段が。
柵には駅への入口の看板があります。
大井川鐵道井川線c81
階段の上には井川展示館の大きな案内看板があり、
その先に駅舎前の広場が広がっています。
大井川鐵道井川線c82
こちらが井川駅の駅舎の外観となります。
線路は1954年(昭和29年)の中部電力専用鉄道の延伸で開通していましたが、
駅が設置されたのは1959年(昭和34年)の大井川鐵道への転換時となります。
大井川鐵道井川線c83
駅舎前の広場の様子です。
県道からは高台となっており、ちょっとした展望台のようになっています。
大井川鐵道井川線c84
駅舎前のシャッターの建物は休日などには
ご覧の通り観光客相手の売店として営業をしています。
大井川鐵道井川線c86
広場の端にある「南アルプス表登山口」の木標。
実際には登山口は12km北の大井川上流の畑薙まで行かないとありませんので
あくまで鉄道利用の入口ということとなります。
大井川鐵道井川線c87
駅舎脇のホームと広場の間には柵が。
大井川鐵道井川線c88
建物の中の様子です。
有人駅で駅員が常駐しており券売窓口があります。
コンクリートの土間の待合室には木製のベンチが。
大井川鐵道井川線c89
こちらが改札口で、列車別改札が行われています。
大井川鐵道井川線c90
駅舎前のホームです。
現在では連絡通路として使われている状態で
基本的にこのホームでの列車の発着はありません。
大井川鐵道井川線c91
ホームの先の北側には橋が架かっており
その先にはトンネルがあります。
これはもう50年近く休止となっている堂平駅へと通じる貨物線です。
大井川鐵道井川線c92
橋には西山沢橋梁の表記が。
この橋は県道を跨ぐ跨道橋でした。
大井川鐵道井川線c93
駅舎前のホームから
もう一つのホームへと連絡をしている構内踏切。
大井川鐵道井川線c94
こちらがもう一つのホームです。駅は単式ホーム2面2線となっており、
こちらの西側にあるホームが通常時に旅客営業で使われているホームとなります。
大井川鐵道井川線c95
ホームの外側である東側には県道60号南アルプス公園線が併走しています。
大井川鐵道井川線c96
駅の外へと戻り県道60号南アルプス公園線を北に。
道を跨ぐ西山沢橋梁が見えてきます。
大井川鐵道井川線c97
先へと進むと切り通しだった県道は次第にホームと同じ高さとなり、
やがて駅敷地へと入り口が見えてきます。
大井川鐵道井川線c98
敷地内はちょうどホーム北端の前付近で、
奥の引き上げ線にはかつては機関車の転車台がありました。
大井川鐵道井川線c99
県道を南の駅入り口方面へと戻ると上には駅の建物が。
大井川鐵道井川線a11
au 4G LTEの電波状況ですが、
井川駅周辺および井川湖の周囲は電波サービスエリア内となっています。
ですので駅からGPSを受信して位置情報を取る事は可能でしょう。



大井川鐵道井川線a17
改めて大井川鐵道井川線の全線のau 4G LTEでの電波状況です。
奥大井湖上駅、尾盛駅、閑蔵駅の3駅は基本的に駅が圏外です。
大井川鐵道の路線上および駅からでGPS位置情報が取得できる場所はありません。
ただ、携帯端末や気象状況で稀に電波が届く状況はある様子ですが基本は圏外です。
レーダーの使用が必要な3駅と言えるでしょう。

大井川鐵道井川線a18
こちらは大井川鐵道井川線の終点付近のボロノイ図ですが、
確実に電波の入る接阻峡温泉駅付近からレーダーを飛ばすと
井川駅が射程9で届きます。

ただ、井川線の本数が劇的に少ないのと、
終点の井川駅では電波が入る為、
全線復旧した現在では接阻峡温泉駅でレーダーを飛ばして引き返す事に
時間的メリットはほぼありません

普通に井川駅まで乗って折り返して来た方が無難だと思います。


以上で大井川鐵道井川線は全てとなります。
基本的に観光路線であり、また中部電力のダム及び発電所の開発とメンテナンス、
そしてダム湖の湖底へと沈んだ集落住民への
補償としての交通機関としての性格をも持つ路線でした。

特に後半は全ての駅が秘境駅とも言える状況であり、
是非とも一度各駅を訪問してみることをお勧めします。

では。