引き続き長良川鉄道についてです。
その1(美濃太田駅━美濃市駅間)はこちら。
その2(美濃市駅━郡上八幡駅)はこちら。
自然園前駅。
1986年(昭和61年)に国鉄越美南線が長良川鉄道へと転換した際に
新たに設けられた駅です。
単式ホーム1面1線の棒線無人駅となっています。
こちらは国道156号線で、奥に見えるトラス鉄橋は
長良川に架かる中元橋です。
この橋の袂のカーブ付近のご覧の横道が
駅へと通じる道となります。
道の脇にひっそりと掲示されている駅への案内。
案内に従って、ほぼあぜ道とも言える道細めのを進むと
駅が見えてきます。
こちらが駅の全景。
駅周辺はご覧の通りで
長良川流域の山村であり、目だった施設などはありません。
駅の前を流れる用水路のほとりが
綺麗に遊歩道として整備されていて、
これだけの大自然の中でわざわざ何故?と思ってみたり。
最初はこの遊歩道付近に自然園があるのかと思ってしまいました。
駅名の由来となった郡上八幡自然園は
駅からみると長良川の対岸にあります。
長良川に架かる先ほどの中元橋の対岸袂が自然園です。
学校や団体などに向けて長良川の河畔でキャンプなど自然学習を行う
野外教育施設となっています。
参考
郡上八幡自然園
http://www.shizenen.com/
山田駅。
1932年(昭和7年)に国鉄越美南線の延伸によって
美濃山田駅として開業した駅です。
かつては駅舎もあって駅員がおり貨物も扱う駅だったそうですが
1960年(昭和35年)に早々に無人駅となっています。
古い写真を見るとこの駅がかつては相対式2面のホームを持ち
交換設備に引き上げ線まである駅だった事が分かります。
しかし現在では完全な棒線駅となっており、
線路の不自然な湾曲がその名残りを留めるにすぎません。
駅の真上には1997年(平成9年)に東海北陸自動車道が開通しており、
駅の近くにはぎふ大和ICが設けられています。
その為、かつての駅の敷地の多くは
現在は道路公団の道路敷地となっています。
駅の外観です。
高速道路の高架下となってしまった駅には
バラックの待合室と駐輪場があるのみとなり
なんともうら寂れた感覚を呼び覚ます光景となっています。
駅の入口には、かつてあった駅舎の基礎の跡が残っていました。
駅を背にして見た正面の道。
100mほど進んだ山の手前で国道156号線へと連絡しています。
徳永駅。
1955年(昭和30年)に国鉄越美南線の駅として開業した駅です。
単式ホーム1面1線の棒線無人駅となっています。
こちらは県道61号線。
写真の奥に100mほどで国道156号線と交わっています。
この県道と長良川鉄道との踏切の脇に駅はあります。
県道から見た駅の外観。
ホームへの入口付近の様子です。
ホーム上の待合室はけっこうな広さがあります。
駅の西側の目の前にはご覧の通り
大型の書店やホームセンターなどが集まっており
一大ショッピングモールとなっています。
その為駅周辺は比較的ひらけた印象です。
郡上大和駅。
1932年(昭和7年)に国鉄越美南線の延伸により開業した駅で、
開業時には美濃弥富駅という名前でした。
相対式ホーム2面2線の駅となっており列車交換が可能となっています。
こちらは駅舎側の美濃太田方面の上り線ホーム。
ホーム側から見た駅舎の様子です。
ホームは構内踏切で連絡しています。
この踏切を中心に二つのホームが入れ違いに配置されており、
いわゆる千鳥式のホーム配置となっています。
下り北濃方面行きのホーム。
美濃弥富駅時代の古い写真などを見るとこちらの線路は
ホーム前に車止めがあり引き上げ線となっていました。
1986年(昭和61年)の長良川鉄道への転換時に設備が追加されて
交換可能駅に改修された様です。
下りホーム側の構内踏切の前には出入口が設けられており、
駅舎を通らずに駅の裏側からも構内への入場が可能となっています。
駅舎の外観。
待合室には出札の窓口などもありますが
現在では無人駅となっているので使われてはいません。
駅前の道は250mほど進むと国道156号線へとつながります。
駅周辺には郡上市の旧大和町の住宅地が広がっています。
そして駅舎の駅務室だった場所には
喫茶店がテナントとして入居していました。
他の長良川鉄道の駅ですとテナントが切符販売などを委託されているのですが
この駅の喫茶店は委託は受けてはいませんので発券業務は行っていません。
万場駅。
1955年(昭和30年)に国鉄越美南線の駅として開業しました。
単式ホーム1面1線の棒線無人駅となっています。
駅への道はご覧の通り、
線路沿いの車一台分の道を進む必要があります。
駅を両端側から見た光景。
こちらは駅の真横の、まさしく駅前の光景です。
ずっと長良川鉄道と並走していた国道156号線は
この駅付近では離れて長良川の対岸にあり、
代わりに近くを県道52号線が走っています。
ですが国鉄時代からの駅の割には駅までの道は細く、
駅周辺の整備はされていませんでした。
上万場駅。
1987年(昭和62年)に長良川鉄道への転換時に新設された駅です。
単式ホーム1面1線の棒線無人駅となっています。
県道52号線から横道に入って80mほど進んだ踏切の脇に
駅への入口があります。
踏切から見た駅の全景です。
踏切を挟んだ駅との対角には駐輪場が設けられています。
一応踏切と反対側のホーム北端からも出入りができますが、
出た先は見ての通りほぼ田んぼのあぜ道です。
大中駅。
1933年(昭和8年)に国鉄越美南線が
美濃白鳥駅まで延伸した際に設けられた駅です。
単式ホーム1面1線の棒線無人駅であり、
この駅から旧白鳥町へと入ります。
線路沿いの道を駅の北側から。
こちらが駅舎の外観です。
駅舎の脇にはタイル張りのスペースがあり、
ホームに上がる階段があります。
こちらは駅舎の中の様子。
シンプルな待合室ですが、
ホームへの入口の青い「おおなか」の文字が印象的です。
駅の道路側には住宅が広がっているのに対して
ホームの眼前はご覧の通り一面の田んぼとなっています。
大島駅。
1955年(昭和30年)にすでに開通していた国鉄越美南線に
新たに開設された駅です。
単式ホーム1面1線の棒線無人駅となっています。
国道156号線から枝分かれした市道からすぐの場所に
ご覧の駅へと通じる道があります。
一見すると住宅地の行き止まりの路地にしか見えませんが、
民家の間に埋もれるように小さな駅舎が設けられています。
ここに駅があると知らないとちょっと見つけづらいかもしれません。
こちらが駅舎の外観です。
駅舎の中の様子。
ホーム側から見た駅舎です。
美濃白鳥駅。
1933年(昭和8年)に国鉄越美南線の延伸によって開業した駅です。
駅メモでは「白鳥ハル」の由来駅として設定されています。
相対式ホーム2面2線を持つ列車交換可能駅ですが、
交換が無ければ上下線共に駅舎のある上の写真の1番線に列車は入線します。
こちらはホーム側から見た駅舎。
1番線ホーム北端にある構内踏切。
対面にある2番線との連絡をしています。
こちらは2番線ホーム。
かつてはこちらの2番線ホームにはログハウス風の待合室があったそうですが
現在は撤去されており、基礎部分が残るのみです。
そして駅の南方の美濃太田方には
車両庫があり、側線が設けられています。
こちらは駅の駅舎の外観です。
国鉄時代からの駅舎であり、かつては入口の軒の上に
毛筆体の駅名標があったそうです。
大きめの広場となっている駅前には
バスの転回できるターミナルも設置されています。
また、旧白鳥町の代表駅であるこの駅の駅前には
商店や公共施設が集まっており、
ここがこの地域の中心地であることが分かります。
そしてこちらは駅前広場にある「白鳥おどり」の石像。
「白鳥の拝殿踊」が国の選択無形民俗文化財となっているこの踊りは
「世界一スピードが早くなる盆踊り」と呼ばれ
見ていてもなかなかの圧巻な踊りです。
美濃白鳥駅から北の、終点の北濃駅までの区間はひとつの閉塞区間となっており、
長良川鉄道ではスタフ閉塞式での列車運行が行われています。
その為美濃白鳥駅では運転士と駅員がスタフ(通票)の交換を行う様子が見られます。
白鳥高原駅。
1955年(昭和30年)に国鉄越美南線の二日町駅として開業した駅です。
長良川鉄道への転換後も駅名は変わりませんでしたが、
1996年(平成8年)に「スキー場の最寄り駅」として
白鳥高原スキー場に由来して半ば戦略的に駅名が変わりました。
しかし実際にはスキー場までは12km以上ある上に
北濃駅の方が近い為、最寄り駅の機能は果たしておらず、
周囲は民家や田畑が点在している状態です。
駅の外観。
単式ホーム1面1線の棒線無人駅です。
駅は踏切の脇にあり、
踏切から国道156号線までは50mほどの距離ですが
駅周辺は民家がまばらで田畑が広がる状態です。
白山長滝駅。
1988年(昭和63年)に新設された駅です。
単式ホーム1面1線の棒線無人駅となっています。
この駅の一番の特徴はなんといってもこちらで、
白山信仰の美濃国側の中心である長滝白山神社の入口に駅があるという点です。
国道156号線が白山神社の前に差し掛かると
神社の駐車場の入口が長良川鉄道の踏切となっています。
こちらが駐車場にある石碑。
「霊峰 白山への道」と刻まれており「美濃馬場」とあります。
信仰の対象である霊峰白山の山頂へは加賀、越前、美濃の三方からの道があり、
それぞれの起点を「馬場」と言い、
三つの道の起点を「白山三馬場」と言います。
そしてこちらの長滝白山神社は美濃国から白山へと至る道の起点であり
「加賀馬場」として、禅頂(山に登って修行すること)の拠点となっていたそうです。
そして駐車場から参道の入口のすぐ右手に駅があり、
長良川鉄道に沿うように北西へと参道が伸びています。
昔は神社と寺が一体の「神仏習合」の状態で
「白山中宮長滝寺」と呼ばれていたそうですが、
明治の神仏分離令によって長滝白山神社と長滝寺に分けられました。
神社も寺も参道を共にしていますので、
入口には寺と神社の社名標があります。
本殿へは鳥居の先へおよそ4~5分ほどです。
神社の社名標の脇には、文化財を示す表示杭が立っています。
この寺と神社にはご覧の杭の数だけ指定文化財があるということになります。
こちらが駅の全景です。
他の長良川鉄道の駅がコンクリートなどで同じ規格で作られているのに対し、
この駅は神社に景観を合わせたのか、待合室や手すりなどが木製となっています。
参道から枝分かれしている駅横の道。
神社参道の入口とは反対側の、ホーム北端に
ご覧の駅への入口が設けられています。
ホームへの出入りはこちらの一箇所のみとなっています。
南端は駐車場や参道入口に近いのですが
ご覧の通り行き止まりに。
ちょっと逆光ですが、国道側から見た駅の様子です。
北濃駅。
1934年(昭和9年)に国鉄越美南線の延伸によって開業した駅で、
当初は福井県側の越美北線(九頭竜線)と接続する予定でしたが
この駅から北へと線路が延伸することは無く、
開業以来ずっと越美南線の終着駅として現在に至っています。
ホームは島式の1面2線となっていますが
使用されているのは1番線のみであり、
2番線は使用されていません。
こちらは駅前の国道156号線様子です。
長良川鉄道、国道156号線、長良川の三つが並走しています。
駅舎の外観。
木造の終着駅です。
駅舎の中の待合室の様子。
待合の壁にはご覧の終着駅の案内が掲示されています。
待合室の隣は食堂がテナントとして入居しています。
駅務の委託は受けていないので切符の販売などはしていません。
駅舎からホーム側へ。
ホーム側から見た駅舎の様子です。
駅舎からホームへは構内踏切で連絡をしています。
こちらがその構内踏切にある、
長良川鉄道の終点の看板です。
看板の奥にも線路は続きますが、ほどなくして途切れています。
美濃と越前を繋ぐが故に「越美」の名前を冠した路線ですが、
その構想がここで途切れた、と考えるとなんとも趣き深いです。
そして構内踏切は島式ホームの奥まで続いており、
駅舎と反対側まで出ることができます。
線路沿いに続く道を進むとホーム横にあるのが。
こちらの転車台となります。
この転車台は国指定の登録有形文化財に指定されています。
参考
文化遺産オンライン「旧国鉄越美南線北濃駅機関車転車台」
http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/180976
転車台の脇には由来が掲示されていました。
こちらは長良川鉄道の郡上八幡駅━北濃駅間の
au 4G LTEでの電波エリアマップです。
この区間も全線が電波サービスエリア内となっています。
基本的に列車内から駅へのアクセスは問題が無いでしょう。
長良川鉄道は起点の美濃太田駅から終点の北濃駅までは
72.1kmの距離があり、全線の所要時間は2時間ちょうど前後となっています。
列車に乗車して往復すればおおよそ半日は必要ですし、
出発の時間によってはほぼその日一日を長良川鉄道に費やす事となるでしょう。
こちらは終点二つ手前の美濃白鳥駅からのレーダーの射程です。
射程12で探知するのは長良川鉄道の駅のみです。
盲腸線である長良川鉄道を近隣の路線からレーダーでコンプする事は
このレーダー射程を見ても無理であることが分かります。
つまりこの路線を攻略したければ現地に行くしか無いという事になります。
関市以北は東海北陸自動車道と国道156号線が
ほぼ長良川鉄道と並走するように走っています。
車使用の場合はこのあたりの道路から駅を取る事は可能でしょうが、
こちらは私は検証をしていませんので
地図を見てのみの意見となります。
山間の走る路線なので電波状況を心配したのですが、
予想に反して長良川鉄道は全線の電波状況が良好でした。
そして乗るしか攻略方法が無いのなら、乗るしか無いと思いませんか?
では。