盲腸線

河口湖強羅03
ご存知の通り、富士急行は山梨県内を走る私鉄であり、
JR中央本線の大月駅から富士山駅でスイッチバックをして
河口湖駅までを走る全長26.6kmの鉄道です。

富士山ろくを走る「富士山に一番近い鉄道」である富士急は
大月からほぼ全ての区間が上り勾配という路線です。
河口湖強羅04
地元住民の通勤通学にも利用されている路線ですが
その性格上比重が高いのが「観光路線」としての一面で、
富士山をはじめとして富士五湖やグループの富士急ハイランドなど
数多くの強力な観光地を沿線に持っています。
河口湖強羅02
その為富士急自体も観光需要に力を注いでおり、
数々の観光列車を走らせるなどして需要を掘り起こした結果
近年では富士山周辺観光のインバウンド需要などもあって好調な売り上げを上げています。


河口湖強羅01
さて、こちらは富士急行線の河口湖駅です。
そんな富士急の終点にある駅で、山梨県の盲腸線の先端に位置する駅となります。

大月駅から河口湖駅までの所要時間はおよそ1時間ちょうどといったところであり、
富士急自体に乗って費やす時間は往復でも2時間強といったところでしょう。
河口湖強羅05
ですが起点の大月駅がJR中央本線の途中駅という性格もあって
富士急と併せて他の路線を乗り潰すということが非常にやりづらい路線でもあります。
また富士急の運賃も大月━河口湖で1140円という値段であり、
盲腸線であるが故に往復しなければならず、必ず2280円の出費を強いられます。
更に大月駅まで行く運賃と時間を考えれば手間はそれ以上でしょう。

河口湖強羅06
そんな富士急を片道だけの乗車で済ませて
他の盲腸線へとワープするルート
がありますので
今回はそのルートを辿りたいと思います。
という訳で河口湖駅の駅前のバスロータリーへ。
河口湖強羅07
こちらは河口湖駅前の6番バス乗り場です。
駅舎を背にしてロータリーの左側にあります。
河口湖強羅11
駅前のロータリーの案内図です。
場所をご参照下さい。
河口湖強羅08
富士急行バス河口湖線というのが今回目指すバスで、
この路線で河口湖駅から御殿場プレミアム・アウトレットへと行くことができます

参考
富士急行バス「路線バス>富士五湖地区を発着するバス」
http://bus.fujikyu.co.jp/rosen/fujigoko
河口湖強羅09
河口湖駅バス停から御殿場プレミアム・アウトレットまでの
運賃は1510円となっており、所要時間は1時間40分前後で設定されています。
河口湖強羅10
こちらが富士急行バスです。
河口湖駅前のロータリーは様々なバスが発着していますので
バス停の場所とバスのデザインは覚えておいて下さい。


河口湖強羅12
富士急ハイランド駅の前のバス停。
河口湖強羅13
須走浅間神社や山中湖など富士五湖エリアを通って
バスは御殿場方面へと向かいます。
河口湖強羅14
JR御殿場線の御殿場駅前です。
富士急からJR御殿場線へのワープ、ということであれば
こちらで下車すれば完了(河口湖━御殿場運賃1510円)
ですが
今回は通過します。


河口湖強羅15
そしてこちらは御殿場プレミアム・アウトレットのバスロータリーの光景です。
もちろんこの場所はどの鉄道の駅からも離れているのですが、
郊外に作られた商業施設という性格上から
近隣の主だった交通機関とのアクセスを取っている場所でもあります。

ですのでこの御殿場プレミアム・アウトレットを中継地点として使う事で
山梨・静岡エリアの各交通機関へのアクセスが可能となる
という訳です。
河口湖強羅16
こちらはプレミアム・アウトレットのメインの通りに置かれた
バス停の行き先案内図です。
3番乗り場が河口湖方面のバスの発着、
そして4番乗り場が箱根方面のバス停である事が記されています。
河口湖強羅17
3番の河口湖方面のバス停です。
河口湖強羅18
バスポールには路線図も書かれています。
河口湖強羅19
3番乗り場に停車する富士急行バスの車両。
富士急の河口湖駅からこちらの御殿場アウトレットまでは
おおよそ1時間30分程度の所要時間
となっています。

河口湖強羅20
そしてこちらが4番乗り場のバス停です。
箱根方面のバスがこちらで発着しますので、
河口湖方面から来た場合、この4番乗り場へ移動をして
バスを乗り換える事となります。
河口湖強羅25
ちなみに3番乗り場(河口湖方面)と4番乗り場(箱根方面)のバス停は
ごらんの通り隣にありますので迷う事はまず無いかと思われます。
河口湖強羅21
こちらが強羅駅方面へと向かう箱根登山バスです。
バスの形やデザインは同じですが、
バスごとに色が違うことがありますのでご注意下さい。
河口湖強羅22
乗車する路線は観光施設めぐりバスとなります。
運賃は御殿場アウトレットから強羅駅までで990円となります。
他の路線に乗ってしまうと強羅駅へは行きませんので
車体の「観光施設めぐりバス」の文字を確認して乗って下さい。
河口湖強羅23
こちらが時刻表です。
オレンジ色で「M」とある路線が観光施設めぐりバスです。
河口湖強羅24
路線図を見ると観光施設めぐりバス以外は強羅駅へと行かないことが分かります。
箱根湯本駅行きに乗ってレーダーを使って箱根登山鉄道をコンプするやり方もあります
実際に乗る事を旨とする為割愛させていただきます。

河口湖強羅26
観光施設めぐりバスの車内です。
河口湖強羅27
さすがに箱根を走るバスだけに
かなりの急坂を越えてバスは走ります。


河口湖強羅28
そしてバスは強羅駅へと到着。
御殿場アウトレットから強羅駅まではだいたい50分弱の所要時間です。
河口湖強羅29
こちらが強羅駅のバス停となります。
河口湖強羅30
バスポールの路線図です。
河口湖強羅31
御殿場方面へのバス停は道の反対側にあります。
河口湖強羅32
強羅駅の駅舎と踏切、そしてバス停の位置関係はご嵐の通りです。

河口湖強羅33
箱根登山鉄道の終点である強羅駅からは、
箱根湯本を経て小田原駅までの15.0kmを最大80パーミルの坂を走って
およそ1時間かけて鉄道が走っています。
強羅駅から小田原駅までの運賃は片道で670円です。
距離的にはさほど長い路線ではありませんが
スイッチバックを3度行うなど全線の乗車には時間が掛かります。
併せて盲腸線なので鉄道のみを使えば往復は必須でした。



河口湖駅から疑点場プレミアム・アウトレットを経て
箱根登山鉄道の終点である強羅駅までは以上のルートでバスで繋ぐことができます。

バスの乗り換えルートだけでも他にもルートはあるのですが、
乗り換え回数が増えたりするなどしますので上級者向けだと思います。
今回のルートであれば乗り換えは御殿場アウトレットでの1回ですし、
バスも30分から1時間間隔で出ていますので
比較的乗り継いでのバスワープがし易い
と思います。

富士急行と箱根登山鉄道。関東西部の2つの盲腸線を攻略の際に
検討の俎上に上がるルートだと思いますので
参考にしていただければ幸いです。


では。

烏山_市塙001
こちらはJR烏山線の終点、烏山駅です。

JR宇都宮線から枝のように分かれている、いわゆる「盲腸線」である烏山線。
宇都宮駅━烏山駅間の所要時間はおよそ1時間丁度ですので、
終点の烏山まで踏破し、再び宇都宮駅まで戻ってくると
待ち時間も入れれば2時間半近くは必要でしょう。


JR東日本で発売している「休日フリーパス」などでは
この烏山線はフリーエリアの圏外ですし、
栃木県の路線では比較的後回しにされがちな路線ではないかと思います。



そして、烏山線の地図を見てみると、

烏山_市塙002
ご覧の通り、近くに真岡鐵道という第三セクターの、
こちらも盲腸線である路線が走っています。
真岡鉄道も全線を乗ると1時間20分程度かかる路線ですので、
終点まで往復をすると結構な時間がかかります。


乗り潰しをしたい人間にとっては、
この烏山線と真岡鐵道の終点同士をつなぐワープをして
時間と効率、そして運賃を節約したいところ
です。




という訳で調べてみると、
烏山線の烏山駅から、真岡鉄道の終点から4駅目、
市塙駅までをつなぐバスが走っている事が分かりました。

今回はこのバスでのワープを実踏してきましたのでご参考になればと。



烏山駅━市塙駅間をつなぐバス路線は
那須烏山市営バス「市塙黒田烏山線」という路線です。


かつては烏山駅と茂木駅の間には鉄道を敷設する計画があったそうで、
開通までの先行としてJRバスが運行していたそうです。
JRバス常野線という路線だったそうで、烏山駅、茂木駅、
そして水郡線の常陸大子駅までをつなぐバス路線でした。

しかし乗降客の減少によってJRバス常野線は次々と縮小されて廃止。
この撤退に際して那須烏山市と市貝町が住民の為に
1995年(平成7年)に共同で公営バス路線を開設したのが
この「市塙黒田烏山線」となります。

きちんと市議会が条例を作って設置した路線で
バスも那須烏山市の所有するものですので、そうそう廃止される事はなさそうです。




さてウンチクはこれくらいにして、
こちらがこれから乗る市営バスです。

烏山_市塙003
この市営バス、もちろんバス停は各所に設置をされているのですが、
「全区間自由乗降区間」という設定になっているので、
タクシーの様に手を上げて乗車をアピールすれば路線上ならどこでも乗れます
ですのでバス乗車をするならば、このバスの形を覚えておいて下さい。



烏山_市塙004
こちらが烏山駅を背にして見た、烏山駅前の光景です。

烏山_市塙005
そしてよく見ると、向かいの店に脇にバス停が見えます。
こちらが今回乗車する那須烏山市営バスの「烏山駅前」のバス停となります。


私は8時02分烏山駅着の烏山線で、駅に到着をしました。
駅前のロータリーでは市営バスが待っていましたが、
こちらは8時12分発の「烏山高部線」という別の路線のバスです。
間違えて乗ると山奥に連れて行かれますので注意をして下さい。
私は乗車の際に運転手に「市塙駅行きですか?」と確認をして乗り込みましたが、
間違えると大事なのでw、皆さんにも乗車の際の確認をお勧めします


とはいえ、田舎の駅前でバスをやり過ごして待っていると、
なかなか「市塙黒田烏山線」のバスの姿が見えません。

「…普通田舎のバスなら、定刻かなり前からロータリーで待ってたりするよな?」
とか考えて、本当にバスが来るのか、かなり不安に襲われます。
「ネットの情報は古くて、本当は路線は廃止されててバスが来なかったら…」
とか考えてw

烏山_市塙006
駅前のこちらの県道102号線を見つめながらバスを待つも、
8時20分になってもまだバスが現れません。
「…8時22分発予定なのに、遅れているのかそもそもバスが無いのか」
とかなり不安はMAXに達します。

「もしバスが来なかったら、後ろで折り返す8時26分の烏山線に乗ろうか…」
などと考えて、戻れる構えを取っていると。

烏山_市塙007
定刻ぴったりに、予想していた道とは違う方向の、
烏山合同タクシーの建物の横の道から
文字通りマイクロバスが飛び出てきました


待っていた時間は15分程度でしたが、不安が最高潮に達していただけに
「ああああ!!助かった!!」
とばかりに、手を上げてバスに駆け寄る私。
後で調べたら、烏山駅前のバスはだいたいここから出てくるみたいです。


烏山_市塙008
バスの車内はこんな感じで。
まさしく公営のマイクロバスですね。
乗客は私一人。


烏山_市塙009
路線は一旦、真岡鐵道とは逆方向の烏山高校方面に立ち寄り、
その後南下をして国道294号線を下って行きます。

烏山_市塙010
途中で国道294号から、なぜか田んぼのせまい道をショートカットして
バス停の前を通過しつつ、県道163号線へと入って行きます。
写真はショートカット最中のバスの車窓から。

烏山_市塙011
道の駅市貝を通過。

烏山_市塙012
市塙郵便局の前の信号を曲がって、真岡鐵道・市塙駅へと向かいます。

この先に「市塙駅入口」というバス停と、「市塙駅」というバス停がありますが、
「市塙駅入口」バス停は駅から200mほど離れた場所にありますので、
間違えて下車しないように注意をして下さい。



烏山_市塙013
そして市塙駅に到着。
8時22分に烏山駅を出発し、
市塙駅に到着したのが9時06分の定刻のおよそ1分前程度でした。
運賃はこの区間で720円。乗車時間は44分です。
さすがに田舎の道を走る路線なだけに、
渋滞などはほぼ皆無ですので、バスの運行はなかり正確に時刻表通りでした。
途中に観光地などがある道でもありませんから、
そうそうダイヤが乱れる事も基本的には無いと思います。

烏山_市塙014
こちらが市塙駅前のバス停の光景です。



そしてこの朝イチのバスに乗ると、一つポイントがありまして。

烏山_市塙015
ご覧の通り、市塙駅へのバス到着が9時06分な訳です。


そしてこちらは真岡鐵道・市塙駅の時刻表ですが。
烏山_市塙016
ご覧の通り、市塙駅での列車が、
上りの下館方面が9時07分と1分しかなく、
また下りの茂木方面も9時08分と2分しか無いという事
です。


時刻表を見れば分かる人は分かりますが、
この時間の市塙駅では、上りと下りの列車が交換(すれ違い)を行います。

市営バスはかなり時刻表に正確に運行していましたし、
バス停から駅構内の車両までもおよそ15秒あれば余裕で乗れます。
単線での列車交換もあるので、実際には乗り換えは十分に可能だと思います。


…まあ私は、停車している列車を見て、あせってダッシュで乗車をした結果、
終点の茂木方向(駅舎側)に乗車すべきところを、
間違えて下館方面行き(線路を渡った反対側)の列車に飛び乗ってしまったという
痛恨のミスを犯しましたw


路線踏破が目的であれば、当然終点も茂木方向へと行くと思いますから、
手前のホームに停車する、後発の列車で大丈夫です。
3駅先の茂木駅までレーダーの届く方は
市塙駅から上りの下館方向へと向かうのもアリですが、
落ち着いて列車を間違えない様に注意をして下さい。



ちなみに真岡鐵道・市塙駅→茂木駅(折り返し)→下館駅(関東鉄道)→取手駅と乗る場合、
市塙駅9時08分発の列車を逃して、次発の9時50分の茂木行きに乗車したとしても
取手駅の到着時刻は15分しか違いません。
(先発12時36分取手着、後発12時51分取手着)

ですから私の様に焦ってミスをしなくても大丈夫ですので、慌てないで下さいw



今回ワープに使用した「那須烏山市営バス」は、
烏山駅のある那須烏山市民の利便の為に設置された公営バスです。
ですから当然、那須烏山市のメイン駅である烏山駅での、
JR烏山線と市営バスはどれも15分程度の接続で
待たずに乗れる様に時刻表が設定されています。


逆に真岡鐵道・市塙駅で乗車をする場合の時刻表を見ると
以下の通りの乗り換えとなります。

真岡鐵道(下り)  市営バス | 真岡鐵道(上り)
07時05分着   07時16分発 | 06時48分着
09時06分着   09時23分発 | 09時04分着
12時55分着   13時43分発 | 13時34分着
15時30分着   15時43分発 | 15時28分着
17時02分着   17時30分発 | 17時10分着(真岡行き)

まあ、それなりに接続が取られている事が分かります。
ただ、市塙駅での乗り換えには罠がありまして。

それは、市営バスが市民の利便を考え設置されているものなので、
基本的には市貝町民、那須烏山市民が生活で使う事、
つまり真岡鐵道沿線から、烏山駅方面へと向かう人間しか想定していないと言う事です。


ですから、路線踏破目的で真岡鐵道を始発の下館駅から乗車し、
終点も茂木駅まで行って折り返し、市塙駅で降りて市営バスに乗るなどという
趣味で無駄な乗り継ぎをしている人間は考慮していないのですねw

実際に下館駅から烏山駅に抜ける事を想定した場合、
7時と9時の市営バスに乗車する事は現実的では無い(間に合わない)でしょう。
すると13時43分の市営バスに乗車する事になりますが、
他路線との乗り継ぎなどを考えると1時間越えの待ち時間の発生する公算が大きいです。



まあ、烏山駅側から乗車した場合、JRで発売している「ときわ路パス」が、
当日購入の場合は下館駅まで買えない、という問題もあります。
その場合、例えば市塙駅→茂木駅→下館駅の真岡鐵道の運賃である
1360円が余計に出費してしまう、というデメリットもあります。


バスについての情報(路線図、時刻表)などは
詳細が以下の那須烏山市のWebに掲載されています。


参考
那須烏山市オフィシャル

http://www.city.nasukarasuyama.lg.jp/
 ※「ホーム > くらし > 公共交通・市道関係 > 市営バス等 > 市塙黒田烏山線」


あとは各自のプランで計画を立てる際に参考に、
今回の情報が参考となれば幸いです。



では。

↑このページのトップヘ